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【8】聖女 家をリフォームする
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頭の中で瞬時に複数の応用魔術式がくみ上げられる人種じゃないのだ。それもゴーレムなんていうニッチでわたしの専門外のジャンルで! しかもしかも、家の形にするなんていうオリジナル要素あふれる式を!!
「だから僕がやります」
ゴーシェは自信たっぷりに胸を張る。
「ルチルさんはリクエストだけしてくれればいいんですよ? すべてあなたのお望みのままに、完璧な屋敷を建てて見せましょう!」
ぺらっとフェルトの前髪をかき上げるぬいぐるみ。
「…………」
それを半眼で見詰めて思わず呟いた。
「……大工さんに頼もうかな」
「なんでですかぁ!!」
いやだって――……、
「ぬいぐるみに頭脳で勝てないんじゃぁ、もうお金で殴るしかないと思って……」
「どうして対抗しようとするんです!? 僕の好意を素直に受け取って下さい!」
「ご、ごめんて――……、」
「任せて下さい! 頼って下さい!
寄り掛かって、しがみついて、依存して、僕なしじゃぁ生きられない体にむぎゅう」
両手でぬいぐるみの顔を左右から押しつぶす。
ぺちゃむくれの顔のままゴーシェはもごもご言い訳した。
「ちがうんです、じょうだんなんです」
「君とはジョークのセンスが合わないようだな」
つぶれた顔が可愛かったので許してあげることにする。
もう二度とするなよ。
「だから僕がやります」
ゴーシェは自信たっぷりに胸を張る。
「ルチルさんはリクエストだけしてくれればいいんですよ? すべてあなたのお望みのままに、完璧な屋敷を建てて見せましょう!」
ぺらっとフェルトの前髪をかき上げるぬいぐるみ。
「…………」
それを半眼で見詰めて思わず呟いた。
「……大工さんに頼もうかな」
「なんでですかぁ!!」
いやだって――……、
「ぬいぐるみに頭脳で勝てないんじゃぁ、もうお金で殴るしかないと思って……」
「どうして対抗しようとするんです!? 僕の好意を素直に受け取って下さい!」
「ご、ごめんて――……、」
「任せて下さい! 頼って下さい!
寄り掛かって、しがみついて、依存して、僕なしじゃぁ生きられない体にむぎゅう」
両手でぬいぐるみの顔を左右から押しつぶす。
ぺちゃむくれの顔のままゴーシェはもごもご言い訳した。
「ちがうんです、じょうだんなんです」
「君とはジョークのセンスが合わないようだな」
つぶれた顔が可愛かったので許してあげることにする。
もう二度とするなよ。
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