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【7】聖女 家を借りる

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「さらに三年定住してくれれば、町から買い取って家も森もぜ~んぶルチルちゃんの物にすることも可能! お安くしておきますぜ~お客さん。ぐえっへっへっへ」

 揉み手をしてわざとらしく笑うモルガナさん。
 ジェイドが冷めた目で見るので、彼女はごほんと咳払いをして仕切り直した。

「と言ってはみたものの、ご覧の通りすぐに人が住める様な状態じゃ無いし――……」

 わたしの視線に気付いたのだろう。言葉の途中で口をつぐんで頬をポリポリと掻く。

「森も! 家も! 好きにして良いんですか!?」
「え、ええまあ、そうね」
「なんてステキ!」

 なんて! ステキ!

 目をキラキラさせるわたしの頭の上で、ぬいぐるみが言う。

「この程度ならどうとでもリフォームできます。よろしいのでは?」

 同居人も賛成してくれた。

「モルガナさん、わたしこのお家を借ります!」
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