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【7】聖女 家を借りる
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さっそく、購入したばかりの赤いスカートと白いウサギのケープ一式を身につけて店を出る。
元々着ていた物は、他に購入した商品と一緒に綺麗に畳んで紙袋の中に入れてくれた。
なんだかちょっと申し訳ない気がするくらいだ。
モルガナさんの案内で、わたし達四人はカフェのテラス席に陣取った。
メニューを開いてジェイドがぐったりと声を出す。
「あー、腹減ったぁ! オレ今ならパセリでもむさぼり食えそう~」
「わかったわ。あんたはパセリ定食ね。
ルチルちゃん、ここはローストビーフ・サンドがオススメよ」
「おいしそうですね。それにします」
「オレもそれが良い!」
「僕も同じ物を」
『え?』
最後に発したぬいぐるみの一言に、わたし達は揃ってゴーシェの方を振り返った。
「え……? お、お前メシ食えるのかよ……?」
ジェイドの問いかけに、ゴーシェは何故かえへんと胸を張った。
「無論です! この姿ですから食べなくても生きていけます。しかし食べても生きていけるのです! 同じ生きるなら食べた方が楽しいじゃないですか!」
ま、まぁ、
「ゴーシェがそうしたいなら、そうすると良いよ」
「ルチルさぁ~ん」
テーブルの上、甘ったれた声を出してすり寄ってくるぬいぐるみを、わたしはメニュー表でガードした。
元々着ていた物は、他に購入した商品と一緒に綺麗に畳んで紙袋の中に入れてくれた。
なんだかちょっと申し訳ない気がするくらいだ。
モルガナさんの案内で、わたし達四人はカフェのテラス席に陣取った。
メニューを開いてジェイドがぐったりと声を出す。
「あー、腹減ったぁ! オレ今ならパセリでもむさぼり食えそう~」
「わかったわ。あんたはパセリ定食ね。
ルチルちゃん、ここはローストビーフ・サンドがオススメよ」
「おいしそうですね。それにします」
「オレもそれが良い!」
「僕も同じ物を」
『え?』
最後に発したぬいぐるみの一言に、わたし達は揃ってゴーシェの方を振り返った。
「え……? お、お前メシ食えるのかよ……?」
ジェイドの問いかけに、ゴーシェは何故かえへんと胸を張った。
「無論です! この姿ですから食べなくても生きていけます。しかし食べても生きていけるのです! 同じ生きるなら食べた方が楽しいじゃないですか!」
ま、まぁ、
「ゴーシェがそうしたいなら、そうすると良いよ」
「ルチルさぁ~ん」
テーブルの上、甘ったれた声を出してすり寄ってくるぬいぐるみを、わたしはメニュー表でガードした。
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