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【6】聖女 服を買う
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わたし達は連れ立って冒険者協会を出て、メインストリートの服屋へ向かった。
ダンジョンに潜る冒険者も御用達だというその店は、ショーウィンドウに明るい色のドレスを着たマネキンが三体飾ってあった。
中に入ってレディースのコーナーに行く。
フリルやレースをたっぷり使った、ワンピースやスカートが並んでいた。
う~ん。町人向けの服屋との違いが分からない……。
素直にそう尋ねてみると、モルガナさんは軽く目を見開いた。
「ルチルちゃんって、お家にあった冒険物語とかを読んで旅に出たのかしら?
言ってるのはいわゆる『防具屋』的な物の事よね?」
「そうです! そうです!」
「今は利用する人は少ないわねぇ。ファイドウッド・タウンにも一件だけ老舗が残っているけれど、使っているのは昔気質なおじいちゃんとかよ」
おじいちゃん……。
モルガナさんの言葉にジェイドが頷く。
「確かに防御力は低いけど、魔術文様の方が動きやすいし値段もお手頃。
プレートアーマーだの皮の鎧だのは、高価だし慣れないとクッソ動きにくいし、何よりダサイじゃん?」
ださい……。
「ああいうのは、たいていフル・オーダーメイドなのよ。壊れたら修理に時間もお金もかかるわ。
その点、安価な既製品なら別な物を買えばそれで済むからねぇ」
ハンガーにかかった洋服を左から右に流しつつモルガナさん。
じだいはすすんだんだなぁ……。
ダンジョンに潜る冒険者も御用達だというその店は、ショーウィンドウに明るい色のドレスを着たマネキンが三体飾ってあった。
中に入ってレディースのコーナーに行く。
フリルやレースをたっぷり使った、ワンピースやスカートが並んでいた。
う~ん。町人向けの服屋との違いが分からない……。
素直にそう尋ねてみると、モルガナさんは軽く目を見開いた。
「ルチルちゃんって、お家にあった冒険物語とかを読んで旅に出たのかしら?
言ってるのはいわゆる『防具屋』的な物の事よね?」
「そうです! そうです!」
「今は利用する人は少ないわねぇ。ファイドウッド・タウンにも一件だけ老舗が残っているけれど、使っているのは昔気質なおじいちゃんとかよ」
おじいちゃん……。
モルガナさんの言葉にジェイドが頷く。
「確かに防御力は低いけど、魔術文様の方が動きやすいし値段もお手頃。
プレートアーマーだの皮の鎧だのは、高価だし慣れないとクッソ動きにくいし、何よりダサイじゃん?」
ださい……。
「ああいうのは、たいていフル・オーダーメイドなのよ。壊れたら修理に時間もお金もかかるわ。
その点、安価な既製品なら別な物を買えばそれで済むからねぇ」
ハンガーにかかった洋服を左から右に流しつつモルガナさん。
じだいはすすんだんだなぁ……。
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