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【4】聖女 『天使』を倒す
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焼け焦げたネジや小さな金属片が、ぱらぱらと降ってくる。
「すっげー……」
「ああー……! 見たかったぁ……! 行動パターンや攻撃、もっと見たかったですぅ……!」
呆然と『天使』の死骸を見ながら呟くジェイドさんと、その腕の中で実に不満そうな声を上げるぬいぐるみ。
かと思ったら、片眼鏡をクイっと上げる仕草をして、
「……っふ。さすがです、ルチルさん。どちらが本当の『天使』の名に相応しいのか、見せつけてやりましたね!」
やかましいわい。
「この部品、めっちゃ高く売れるんだぜ~。
あー、なんかもったいねーなぁ……。鞄持ってくれば良かった~」
ジェイドさんが灰色の煙を惜しそうに見つめる。
「あ、じゃあジェイドさん、わたしのマントで包んでいきましょうか?」
「おー、さんきゅー! てか、」
彼は目の前に来て、ぬいぐるみをわたしの頭の上に乗せた。
「呼び捨てで良いよぉ。年もそんなに変わらないみたいだし。
それにしても強いねぇ。見直した!」
にこにこ笑ってジェイドが、わたしの頭をゴーシェごとぽんぽんする。
「えへへ。ありがとう!」
「……ッチ!」
「ございます」
外したマントに、ジェイドが焼け焦げた部品をぽいぽい入れて包んだ。
一悶着あったが、ようやく森の中から脱出できそうだ。
「すっげー……」
「ああー……! 見たかったぁ……! 行動パターンや攻撃、もっと見たかったですぅ……!」
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「……っふ。さすがです、ルチルさん。どちらが本当の『天使』の名に相応しいのか、見せつけてやりましたね!」
やかましいわい。
「この部品、めっちゃ高く売れるんだぜ~。
あー、なんかもったいねーなぁ……。鞄持ってくれば良かった~」
ジェイドさんが灰色の煙を惜しそうに見つめる。
「あ、じゃあジェイドさん、わたしのマントで包んでいきましょうか?」
「おー、さんきゅー! てか、」
彼は目の前に来て、ぬいぐるみをわたしの頭の上に乗せた。
「呼び捨てで良いよぉ。年もそんなに変わらないみたいだし。
それにしても強いねぇ。見直した!」
にこにこ笑ってジェイドが、わたしの頭をゴーシェごとぽんぽんする。
「えへへ。ありがとう!」
「……ッチ!」
「ございます」
外したマントに、ジェイドが焼け焦げた部品をぽいぽい入れて包んだ。
一悶着あったが、ようやく森の中から脱出できそうだ。
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