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バレた!
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アレンとエリーヌの居る部屋の扉は、少し開いていました。
急いで部屋に駆け込んだので、しっかり閉めていなかったのかもしれません。
ふたりの話し声が聞こえてきて、扉の前まで来ていたリーナは足を止めました。
「エリーヌ。さっきは胸の谷間に目がくらんで、じゃなくて、君の魅力に頭が真っ白になって、というか、ちょっと冷静な判断が出来なくなって、強引にリーナの別荘へ突入したけど、これはきっとすごく不味い事をしてると思うんだ。 堅物のリーナが、こんな破天荒を許すはずがない。 僕はなんとしてもリーナと結婚し、我が家の借金返済をしてもらわなくてはいけないんだよ。 だから、エリーヌは明日の早朝、ここを出て家に帰るんだ」
一生懸命に説得するアレンを、潤んだ瞳で見つめるエリーヌ。
「うちには借金があるの? 先日も大きなダイアモンドでできた熊の置物を買ったところよ」
「今後はそういう必要でないものは、買わないようにしてくれるかい?」
「鮭を咥えてて、とても可愛かったの」
「熊は鮭を獲るのが上手だからねぇ・・。置物の値段は聞かないでおくよ。びっくりして倒れるかもしれない。 とにかく、その熊の置物の代金もリーナに支払ってもらわなくては」
「お兄様・・お兄様はリーナ嬢のものになってしまわれるの? 私・・ずっと前からお兄様の事をお慕いしておりましたのに・・」
「エリーヌ! 実は僕も、君にずっと惹かれていた。 君が・・好きなんだ」
「お兄様っ!」
アレンとエリーヌは愛を確かめ合うように激しく抱きしめ合いました。
「エリーヌ。 リーナと結婚したって、僕の心は君のものだ。 借金を返済してもらったら、リーナとは離縁する。 そして、君を迎えに行くよ」
「お兄様っ!」
熱く燃え上がったふたりが熱いチューをかまそうとした時、扉がバァン!と開かれました。
そこには、仁王立ちで鬼の形相をしたリーナと、わんちゃんが立っていました。
「・・なぜ私が、ダイヤの熊が鮭を咥えた置物の代金や、あなたの実家の借金を支払わないといけないんですの? そして、払った後は離縁される? いい加減にしなさい!」
怒り狂うリーナを怖いと思いつつも、開き直るアレン。
「ばれたら仕方ない! でも、君が何を言おうが、お人好しの君の両親など簡単に言いくるめられる。 こちらが被害者の振りをして、賠償金を請求してやるさ!」
「なんですって?!」
リーナが怒りに震えたその時、隣に立っていたわんちゃんの体が白い光に包まれ、眩しいほどに輝き始めました!
急いで部屋に駆け込んだので、しっかり閉めていなかったのかもしれません。
ふたりの話し声が聞こえてきて、扉の前まで来ていたリーナは足を止めました。
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一生懸命に説得するアレンを、潤んだ瞳で見つめるエリーヌ。
「うちには借金があるの? 先日も大きなダイアモンドでできた熊の置物を買ったところよ」
「今後はそういう必要でないものは、買わないようにしてくれるかい?」
「鮭を咥えてて、とても可愛かったの」
「熊は鮭を獲るのが上手だからねぇ・・。置物の値段は聞かないでおくよ。びっくりして倒れるかもしれない。 とにかく、その熊の置物の代金もリーナに支払ってもらわなくては」
「お兄様・・お兄様はリーナ嬢のものになってしまわれるの? 私・・ずっと前からお兄様の事をお慕いしておりましたのに・・」
「エリーヌ! 実は僕も、君にずっと惹かれていた。 君が・・好きなんだ」
「お兄様っ!」
アレンとエリーヌは愛を確かめ合うように激しく抱きしめ合いました。
「エリーヌ。 リーナと結婚したって、僕の心は君のものだ。 借金を返済してもらったら、リーナとは離縁する。 そして、君を迎えに行くよ」
「お兄様っ!」
熱く燃え上がったふたりが熱いチューをかまそうとした時、扉がバァン!と開かれました。
そこには、仁王立ちで鬼の形相をしたリーナと、わんちゃんが立っていました。
「・・なぜ私が、ダイヤの熊が鮭を咥えた置物の代金や、あなたの実家の借金を支払わないといけないんですの? そして、払った後は離縁される? いい加減にしなさい!」
怒り狂うリーナを怖いと思いつつも、開き直るアレン。
「ばれたら仕方ない! でも、君が何を言おうが、お人好しの君の両親など簡単に言いくるめられる。 こちらが被害者の振りをして、賠償金を請求してやるさ!」
「なんですって?!」
リーナが怒りに震えたその時、隣に立っていたわんちゃんの体が白い光に包まれ、眩しいほどに輝き始めました!
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