婚約破棄を目指して

haruhana

文字の大きさ
上 下
6 / 9

押しかけ兄妹

しおりを挟む
 別荘に戻ったリーナたちが湯浴みと夕食を終え、わんちゃんと寛いでいた頃。

 やっと、別荘を探し当てたアレンが馬車を止め、門の外に佇んでいました。

 暗闇に聳え立つ白亜の別荘には煌びやかな明りが灯り、ロマンティックな雰囲気を醸し出しています。


「ふふふ・・。遂に見つけたぞ! このお城のような別荘もいずれ僕の物になるんだ・・なんとしてもリーナを僕に夢中にさせて、婚約破棄を回避しなければ・・」

 独りごちながらグフフと笑い、リーナをどう攻略しようかと考えを巡らせるアレン。

 しかし、そうは問屋が卸さないようです。

「お兄様~♪ 私、こっそりお兄様の後をつけてまいりましたっ! お兄様ったら、黙ってコソコソお出かけになるんですもの。 内緒で海に行くなんてずるいわ。 私も連れて行ってくださらないと! いつもお兄様と一緒に居たいと言っておりますでしょう? この素敵な建物が、今夜のお宿ですか? 早く入りましょうよ~♪」

 すっかり旅行気分で浮かれるドレス姿のエリーヌは豊満なダイナマイトバディを摺り寄せ、大きく揺れる胸の谷間にアレンの鼻の下はだら~んと伸びてゆくのでした。

「そうだね! ここはリーナの別荘だから、タダで泊まれるんだよぉ♪」

「まぁっ、タダで? 御馳走も食べ放題ですわね! 楽しみ~♪ こんなこともあろうかと、私、タッパーを持ってきましたの!」

 どでかいタッパーをいくつも馬車に積んできたようです。

「さすがエリーヌは用意がいいね! 詰めれるだけ詰めて、持って帰ろうね♪」

 厚かましさ無限大の兄妹は、意気揚々とリーナの別荘に乗り込むことにしました。

 門番に取り次いでもらい、エントランスに入ると、ここに泊めろ、御馳走を山ほど出せと大騒ぎして、止める侍女と管理人を強行突破し、強引にゲストルームに飛び込むと、ソファで寛ぎはじめました。

 侍女が事の次第をリーナに伝えに行くと、

「突然押しかけてきて、なんて人たちなの」

 呆然とするリーナ。 わんちゃんも目が点になっています。

「どうしましょう?」

 話の通じないアレンたちに困り果てる侍女。

「・・そうね。 とりあえず様子を見ましょう。 御者の方たちにも部屋を用意してあげて。 彼らも困っているでしょう」

 リーナはアレンたちの居る部屋へと向かいました。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

破滅した令嬢は時間が戻ったので、破滅しないよう動きます

天宮有
恋愛
 公爵令嬢の私リーゼは、破滅寸前だった。  伯爵令嬢のベネサの思い通り動いてしまい、婚約者のダーロス王子に婚約破棄を言い渡される。  その後――私は目を覚ますと1年前に戻っていて、今までの行動を後悔する。  ダーロス王子は今の時点でベネサのことを愛し、私を切り捨てようと考えていたようだ。  もうベネサの思い通りにはならないと、私は決意する。  破滅しないよう動くために、本来の未来とは違う生活を送ろうとしていた。

冤罪を受けたため、隣国へ亡命します

しろねこ。
恋愛
「お父様が投獄?!」 呼び出されたレナンとミューズは驚きに顔を真っ青にする。 「冤罪よ。でも事は一刻も争うわ。申し訳ないけど、今すぐ荷づくりをして頂戴。すぐにこの国を出るわ」 突如母から言われたのは生活を一変させる言葉だった。 友人、婚約者、国、屋敷、それまでの生活をすべて捨て、令嬢達は手を差し伸べてくれた隣国へと逃げる。 冤罪を晴らすため、奮闘していく。 同名主人公にて様々な話を書いています。 立場やシチュエーションを変えたりしていますが、他作品とリンクする場所も多々あります。 サブキャラについてはスピンオフ的に書いた話もあったりします。 変わった作風かと思いますが、楽しんで頂けたらと思います。 ハピエンが好きなので、最後は必ずそこに繋げます! 小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。

月が隠れるとき

いちい千冬
恋愛
ヒュイス王国のお城で、夜会が始まります。 その最中にどうやら王子様が婚約破棄を宣言するようです。悪役に仕立て上げられると分かっているので帰りますね。 という感じで始まる、婚約破棄話とその顛末。全8話。⇒9話になりました。 小説家になろう様で上げていた「月が隠れるとき」シリーズの短編を加筆修正し、連載っぽく仕立て直したものです。

いちゃつきを見せつけて楽しいですか?

四季
恋愛
それなりに大きな力を持つ王国に第一王女として生まれた私ーーリルリナ・グランシェには婚約者がいた。 だが、婚約者に寄ってくる女性がいて……。

婚約破棄をされて魔導図書館の運営からも外されたのに今さら私が協力すると思っているんですか?絶対に協力なんてしませんよ!

しまうま弁当
恋愛
ユーゲルス公爵家の跡取りベルタスとの婚約していたメルティだったが、婚約者のベルタスから突然の婚約破棄を突き付けられたのだった。しかもベルタスと一緒に現れた同級生のミーシャに正妻の座に加えて魔導司書の座まで奪われてしまう。罵声を浴びせられ罪まで擦り付けられたメルティは婚約破棄を受け入れ公爵家を去る事にしたのでした。メルティがいなくなって大喜びしていたベルタスとミーシャであったが魔導図書館の設立をしなければならなくなり、それに伴いどんどん歯車が狂っていく。ベルタスとミーシャはメルティがいなくなったツケをドンドン支払わなければならなくなるのでした。

誰ですか、それ?

音爽(ネソウ)
恋愛
強欲でアホな従妹の話。

もう我慢したくないので自由に生きます~一夫多妻の救済策~

岡暁舟
恋愛
第一王子ヘンデルの妻の一人である、かつての侯爵令嬢マリアは、自分がもはや好かれていないことを悟った。 「これからは自由に生きます」 そう言い張るマリアに対して、ヘンデルは、 「勝手にしろ」 と突き放した。

“代わりに結婚しておいて”…と姉が手紙を残して家出しました。初夜もですか?!

みみぢあん
恋愛
ビオレータの姉は、子供の頃からソールズ伯爵クロードと婚約していた。 結婚直前に姉は、妹のビオレータに“結婚しておいて”と手紙を残して逃げ出した。 妹のビオレータは、家族と姉の婚約者クロードのために、姉が帰ってくるまでの身代わりとなることにした。 …初夜になっても姉は戻らず… ビオレータは姉の夫となったクロードを寝室で待つうちに……?!

処理中です...