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婚約破棄が遠のいてゆく~?
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「では、そろそろ失礼するよ」
婚約者アレン様は、妹のエリーヌ嬢と仲睦まじく腕を組みながら、応接間のドアへと向かいました。
結局、2時間もエリーヌ嬢とイチャコラし続け、私とは話もせず、一体何しに来たんですか?と、盛大に突っ込みたい気持ちをグッと抑え、淑女の微笑みを浮かべる私。
頬が筋肉痛になりそうなくらいの引きつり笑いですわ。
応接間を出ると、お父様が廊下を歩いて来られました。彼らの姿を見るなり、
「もう帰るのかい? ゆっくりしていけばいいのに」
朗らかに声をかけるお父様。
丁寧にお辞儀するアレン様の隣で、エリーヌ嬢が甘い声をあげました。
「お義父様、お会いしとうございました!」
素早く歩み寄り、お父様に淑女の礼をして満面の笑みをふりまくエリーヌ嬢に、お父様のハートはあっさり撃ち抜かれたようです。
「なんと、天使のように愛らしい・・お義父様と呼んでくれるのかい?」
お義父様ではなく、叔父様では? と突っ込むわけにもいかない和気あいあいとした雰囲気に包まれてゆく我が家。
アレン様の心だけでなく、パパンの心まで奪っていくエリーヌ嬢。
婚約破棄が遠のいてゆきますわ~!
そこへ、お母様も登場。
「あら、アレンくん。いらしてたのね」
お母様は、歓迎ムードで優雅に微笑みました。
「お義母様、今日もお美しい。この薔薇も、お義母様の美貌の前では霞んでしまいそうですが・・」
そう言って、大きな深紅の薔薇の花束をお母様に差し出すアレン様。
婚約者の私には何も無いのに、お母様にだけ花束?
やっぱり、アレン様の思考回路はよく分からないわ。
「まぁ、アレンくんったら。優しいのね」
お母様は幸せそうに、綺麗な花束を抱えました。
ママンまで・・・攻略されていますわ!
さらに遠のいた婚約破棄に、呆然と立ち尽くす私。
その一瞬、ちらりとこちらに視線を向けたエリーヌ嬢は・・困っている私を楽しんでいるかのような意地悪い微笑を浮かべました。
何? その悪魔のような微笑みは?
私が嫌がってるの分かってて、毎回デートの邪魔していますわよね? どう考えても確信犯ですよね?
・・こんな意地悪そうな義妹、いら~~ん!
誰が馬車まで見送ってなどやるものか~!
私は思わず、思いのたけをぶつけるかのように、夕焼けに向かって走っていました。ストレス解消ですわ~!
翌日。
王立学園での授業を終え、校舎の廊下を歩いていると、窓から令嬢たちが集まっている姿が見えました。
アレックス様が馬車に乗る前にお見送りをしようと集まっているファンの方々かしら。出待ち、入り待ちと、いつも熱心ね。
私もアレックス様を一目見たいけど・・婚約者のいる身だから我慢しなきゃ・・。
あれ? でも何か令嬢たちの騒ぎ方がおかしいわ。 どうしたのかな。 危険生物でも現れたのかしら?
真っ直ぐ屋敷に帰る気になれない私は、野次馬根性を引っ提げて現場に向かいました。
そこに居たのは、カラスに襲われている薄汚れた子犬。
令嬢たちは見ているだけで、カラスが怖いのか助ける気がないようです。
私もカラスは怖いけど・・。そうだ、おやつのクッキーを使いましょう!
子犬が居る反対方向にクッキーを投げ、カラスの興味がクッキーに向いたところで素早く駆け寄り、子犬を抱いて救出。
パグに似た雑種の子犬は少しケガをしていました。
『きゅう~~ん・・』
潤んだ瞳で見つめてくる子犬を抱っこしていると、この小さな温もりを守らなくちゃという使命感に燃えてきます。
「うちにいらっしゃい。きっと大切にするわ!」
まるで私の言葉が分かるみたいに、子犬は嬉しそうに、
『わんっ!』と鳴いたのでした。
婚約者アレン様は、妹のエリーヌ嬢と仲睦まじく腕を組みながら、応接間のドアへと向かいました。
結局、2時間もエリーヌ嬢とイチャコラし続け、私とは話もせず、一体何しに来たんですか?と、盛大に突っ込みたい気持ちをグッと抑え、淑女の微笑みを浮かべる私。
頬が筋肉痛になりそうなくらいの引きつり笑いですわ。
応接間を出ると、お父様が廊下を歩いて来られました。彼らの姿を見るなり、
「もう帰るのかい? ゆっくりしていけばいいのに」
朗らかに声をかけるお父様。
丁寧にお辞儀するアレン様の隣で、エリーヌ嬢が甘い声をあげました。
「お義父様、お会いしとうございました!」
素早く歩み寄り、お父様に淑女の礼をして満面の笑みをふりまくエリーヌ嬢に、お父様のハートはあっさり撃ち抜かれたようです。
「なんと、天使のように愛らしい・・お義父様と呼んでくれるのかい?」
お義父様ではなく、叔父様では? と突っ込むわけにもいかない和気あいあいとした雰囲気に包まれてゆく我が家。
アレン様の心だけでなく、パパンの心まで奪っていくエリーヌ嬢。
婚約破棄が遠のいてゆきますわ~!
そこへ、お母様も登場。
「あら、アレンくん。いらしてたのね」
お母様は、歓迎ムードで優雅に微笑みました。
「お義母様、今日もお美しい。この薔薇も、お義母様の美貌の前では霞んでしまいそうですが・・」
そう言って、大きな深紅の薔薇の花束をお母様に差し出すアレン様。
婚約者の私には何も無いのに、お母様にだけ花束?
やっぱり、アレン様の思考回路はよく分からないわ。
「まぁ、アレンくんったら。優しいのね」
お母様は幸せそうに、綺麗な花束を抱えました。
ママンまで・・・攻略されていますわ!
さらに遠のいた婚約破棄に、呆然と立ち尽くす私。
その一瞬、ちらりとこちらに視線を向けたエリーヌ嬢は・・困っている私を楽しんでいるかのような意地悪い微笑を浮かべました。
何? その悪魔のような微笑みは?
私が嫌がってるの分かってて、毎回デートの邪魔していますわよね? どう考えても確信犯ですよね?
・・こんな意地悪そうな義妹、いら~~ん!
誰が馬車まで見送ってなどやるものか~!
私は思わず、思いのたけをぶつけるかのように、夕焼けに向かって走っていました。ストレス解消ですわ~!
翌日。
王立学園での授業を終え、校舎の廊下を歩いていると、窓から令嬢たちが集まっている姿が見えました。
アレックス様が馬車に乗る前にお見送りをしようと集まっているファンの方々かしら。出待ち、入り待ちと、いつも熱心ね。
私もアレックス様を一目見たいけど・・婚約者のいる身だから我慢しなきゃ・・。
あれ? でも何か令嬢たちの騒ぎ方がおかしいわ。 どうしたのかな。 危険生物でも現れたのかしら?
真っ直ぐ屋敷に帰る気になれない私は、野次馬根性を引っ提げて現場に向かいました。
そこに居たのは、カラスに襲われている薄汚れた子犬。
令嬢たちは見ているだけで、カラスが怖いのか助ける気がないようです。
私もカラスは怖いけど・・。そうだ、おやつのクッキーを使いましょう!
子犬が居る反対方向にクッキーを投げ、カラスの興味がクッキーに向いたところで素早く駆け寄り、子犬を抱いて救出。
パグに似た雑種の子犬は少しケガをしていました。
『きゅう~~ん・・』
潤んだ瞳で見つめてくる子犬を抱っこしていると、この小さな温もりを守らなくちゃという使命感に燃えてきます。
「うちにいらっしゃい。きっと大切にするわ!」
まるで私の言葉が分かるみたいに、子犬は嬉しそうに、
『わんっ!』と鳴いたのでした。
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