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三章
ジークの回想 2
しおりを挟む沢山のことを教えて親近感が湧いたのか、彼女も自分のことを語ってくれた
「たしか、かげっていういみだったわ」
「かげ?」
「うん。このむらはまちからはなれてるでしょ?だからあんまり、まちのひとにすかれてないみたいだわ。」
「…まちからはなれてるから、きらわれてるの?」
「かあさんはそういってたわ」
「ふぅん…」
(…たったそれだけの理由で嫌われるのか?)
彼女は母親にそう教えてもらったと言っていたが、今考えれば何か別に理由があるのは明白だった
だが当時の自分はまだ幼く、違和感は感じていたもののそこまで深く考えなかった
「おしえてもらったときは、よくわかってなかったんだけど…いまならよくわかるわ」
「…どういうこと?」
「このまえ、だめだっていわれてたんだけどひとりでまちにおりちゃったの」
「そうなの?」
「うん。そしたらね、しらないおばさんにこえをかけられたんだけど…」
「だけど?」
今までの明るい顔に影がかかり悲しそうな顔をする
「すっごいおどろかれちゃって、どうしたのかなっておもってたら、きゅうにほっぺをたたかれたの」
「なっ!」
彼女が示した白くて小さな丸い頬を急いで触れる
「きずはのこってないのか?!いたかっただろ」
そう言うと、彼女はふんわりと笑った
「すっごくいたかったわ。でもいまは、だいじょうぶ。」
「…でもなんでそんなことされたんだ?いくらすかれてないとはいえ、そんなたたくなんて…」
「たぶんだけど…」
そういうと彼女は椅子に立ち、ポーズをとる
「むらのみんながびじんなのもりゆうのひとつだとおもうわ!」
「…………え?」
まさか、そんなことをいわれるとはおもってもいなかった
彼女の主張にかなり驚く
「だってほんとうにきれいなのよ?かあさんはいまはねてるけどこえもすごくあんしんするこえだわ」
そういうとクルクルと回転しながら、踊り始める
窓からさす月光も相まって、辺りを幻想的な雰囲気にする
彼女はまだ小さいながらも踊りが上手く、また歌もすごく上手だった
まるで妖精だ
それから、行ける限りスキア村に通った
彼女はリリと呼ばれているらしく、周りからは丁寧な口調で話されていたので、村の中ではある程度の地位の娘なのだろう
日中に行った時、他の村人もいたが彼らは笑顔で迎え入れてくれて、多くのことを教えてくれた
本当に楽しい日々だった
自国に帰らなくてはいけないギリギリの時間まで村にいたくらいだった
リリと別れるのが辛くて、最後に自分でも恥ずかしくなるような言葉をかける
「りり、おーきくなったらぼくがむかえにきてあげる」
「………………ほんとに?」
「うん、ほんとだよ。
おおきなばしゃにのって、かっこよくなって、つよいおとこになってからからむかえにいくよ」
「じゅうぶんかっこいいわ」
「でも、りりをまもれるれーせいなおとこじゃない」
「ならわたしがもっとつよくなればすぐにむかえにきてくれる?」
「どうしてそう思うの?」
「だってもう…かっこいいし……」
「うーん…すぐにはむりかなぁ…」
「そっかぁ…」
「おちこまないで。りりがつよくなるんだったらぼくはもーっとつよくなってむかえにいくよ」
「…じぶんのことはじぶんでまもれるようになるわ」
「たのもしいね。でも、ぼくにもりりをまもらせてね」
「ふふ、たのしみだわ!」
「まっていて、りり」
「まってるわ!じーく!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
諸事情により、更新をストップします
3月11日にまた更新しますのでお楽しみに~
多分、お昼ぐらいには更新できます!
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