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二章
留学生イアン=テランス=エピスィミア
しおりを挟む「大人しくするって言ってましたよね?なのに着いて早々に暴れるとはいい度胸してますね」
「ありがとう」
「褒めてません!」
「だから言ってるじゃない、ごめんねって」
「なんですかその不貞腐れた顔は!」
「むー」
説教が始まって早3時間
外はもう暮れてしまった
「いいですか、イアン殿下はとても物静かな方なんです。とーっても。暴言なんて吐かないし、暴力を振るうことだってしません」
「あの人だって遠回しに暴言吐くし…この前は外に放り投げられたわよ」
「それは貴女が何かしたからでしょう?」
侍女は、思いっきりため息をついて顔を伏せる
「………こんな調子ではバレてしまう日はそう遠くないでしょう。流石に知っていると思いますが、名義を偽り入学するのは犯罪です。退学しなければならなくなるでしょう。ですが貴女の場合、王族ですからハテサルを欺いたと捉えられてしまう…。裁かれずとも、エピスィミアの評判は地に落ちます。ですから…」
「レイラは……………そんなにエピスィミアが大事?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いつもより低い声のトーンの主に驚く
「え?」
「…あそこにいる奴は、ほとんど私や母上を嫌ってる。あのクソオヤジに関しては人生最大の汚点とか言ってるわ。」
「…っ」
「もちろん私だって姉よ。弟の評判は大事だわ。今日はふざけたところしか見せてないけど…学園に入ってからは私なりに学生らしく生活するつもりよ。………事前にイアンから貰ったあの紙通りに動くし、ボロが出ないように努力だってする。」
「ふざけてる自覚はあったんですね」
「…だけど」
王女は、強い意志を持った瞳で私を見据えた
「あの王族共のためには、動かない」
忠誠を誓った日に見たあの瞳
「言ったでしょ?レイラ」
「私が、あいつらに復讐する。貴女と私の恨みを晴らそうって。…あ、でもゼイン兄上とフェリア姉上はダメだからね」
人生をかけて忠誠を捧げると誓った人…
「…私が上手く立ち回れるように協力して欲しいの。…頼める?」
片膝をつけ跪く
「もちろん協力させていただきます、我が君」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…大きい」
「大陸1番の大きさだそうですよ」
入国4日目。
リリアーヌは、学園の正門の前に立っていた
「眠い」
リリアーヌの顔面には隈が張り付いていた
3日目の昨日は、怒涛の日々だった
まず朝1番に事前に測っておいたオーダーメイドの制服を 店まで取りに行き微調整。
次に学園の教授と面会。
その次に、語学レッスン。
そのまた次にイアンから貰った紙を頭に再度叩き込み、イアンテスト
王女は床に就いたのがいつだったか覚えていなかった
「今日は軽い挨拶だけですから頑張ってください」
「挨拶かー」
「全校生徒の前でですけど」
「誰も聞きたくないだろ」
「そうですね」
「…否定してよ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
学園内に入ると1人の女性が駆け寄ってくる
「よくお越しくださいました、イアン王子。私は王子のクラス担任のソニアと申します。」
(大丈夫でしょうか…)
侍女は、ヒヤヒヤしながら王子に目を向ける
「貴女が担任のソニア教授でしたか。ハテサルで有名な方だと兄のゼインから聞いています。
至らぬところは多々ありますが、お世話になります」
第1王子ゼインは、国内のみならず他国でも有名な王子だ
人柄がよく実力もある
エピスィミアに王太子はいないが彼が最有力候補だ
大体のことは、ゼインの名を出せば好印象を受ける
「まあ…!イアン王子のお噂はあまり伺っておりませんでしたが、しっかりしていらっしゃる」
(印象は、上々……頑張ってリリアーヌ様!)
侍女は、小さなガッツポーズを贈る
「早速ですが、王子には講堂にて挨拶をしていただきます。我が国は長い間、留学生がいなかったので、生徒の他国の人と交流する機会が全くなく………是非、多くの生徒と交流していただきたいのです。よろしいでしょうか?」
「そのつもりで来ました。もちろん問題ないですよ」
「では、案内させていただきます」
「よろしくお願いします。…レイラ、俺の部屋に荷物を運んでおいてくれ」
「承知しました」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「只今より、帝国暦240年第15回定例会を行うこととする」
「では始めに、留学生の紹介から…こちらへ」
壇上に立ち、見渡せば祖国では考えられないほどの多くの生徒が私を見つめる
「留学生、イアン=テランス=エピスィミアだ。よろしく」
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