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一章
優しいきょうだい
しおりを挟む「男装すればいい」
王の発言にその場にいた全員が驚いた
「男装すれば、貞操も守れる。万々歳じゃないか」
ブチッと音が聞こえてきそうなほど怒りをあらわにしたリリアーヌは、王が座る玉座に近寄る
瞬間、胸ぐらを掴み上にあげる
「そんな趣味ないわ。ふざけんのも大概にしろよ、クソオヤジ」
「リリアーヌ…頼む…離してくれ……」
「そのおかしなことしか言えない口がきけなくなったら、命だけは助けるかもしれないわね」
「きゃあああ、なんてことするのです!!!!お姉様!」
「お父様にその口の利き方は、失礼極まりないわ!!」
「はっ、母親が平民だとろくな事ないわね」
「ルイーゼ!」
「うるさいわよ、妹ども。静かにしたら?しゅくじょなんでしょ?」
「なんですってーーー?!」
「り、リリ……」
「僕はもう帰るよ」
「リリアーヌいい加減にしろよ!!!!!!」
「よかったの?リリ?」
「そうだよ。結局承諾するなんて、らしくないね?」
心配そうな表情でリリアーヌを見つめるのは第2王女と第1王子
彼女を批難する者が多いこの王城で数少ない理解者である
「良いのよ兄上、姉上。あいつらに何言ったところで留学することは変わらないわ」
「………」
「ごめんなさい、リリ…。私がもっと、もっと力を持っていたら…」
「何言ってるのよ、姉上!別に男装すること自体は普段からしてるし、慣れてるわ」
「ん?」
王子が一瞬気になるワードに引っかかる
「まさか街に無断で出てるわけじゃないよね?」
「名前どんなのがいいかな」
父や、兄妹に暴言を吐けるほどのメンタルの持ち主でも、兄の怒りには敵わない
「リリアーヌじゃだめなの?リリに1番似合う素敵な名前なのに」
「思いっきり女性名じゃないか…」
優しき第2王女は、少々天然気味である
「なら、リアムはどう?なんか似てるし、いい感じじゃない?」
「なんか似てるし、いい感じ………?」
「良いわね!!センスあるわ、姉上!」
「まあ、リリにそう言ってもらえて嬉しいわ!」
「……でも、王子として行くなら誰かの名前を借りないとまずいんじゃないかな?」
「「確かに…」」
まるで旅行にでも行くようなノリの王女達だが、ハテサルに留学するのだ
欺くなど、殺人案件である
「私の名前は、よく知られているから使えないな」
「いいわね、ゆーめーじんは」
「羨ましいわ、お兄様」
「……はぁ」
王城の問題児と、天然王女の扱いは大変である
「名を借りるなら、ルークとイアンだけど……」
「ルークは、流石に無理があるわ」
「そうね」
第2王子であるルークは、リリアーヌのことを毛嫌いしている
借りマースなんて言ったら、激怒して襲いかかってくるだろう
「もう少し落ち着けばいいのに、だから背が伸びないのよ」
「関係ないよ…多分」
ルークの身長約150cm(本人は190cmと言い張っている)
「なら、イアンね」
第3王子、イアン
毛嫌いする訳でもなく、かといって味方になってくれる訳でもない
いわば中立の王子である
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