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ハイトの話
しおりを挟む「ハイトさん、手紙が届いてますよ」
ルームメイトが私宛の手紙を手渡してくれる
宛主を確認すると、そこには『リリアーヌ』と書かれていた
「…恋人ですか?」
「違うよ、彼女は知り合いの姉だ」
こんなことは初めてだ
イアンから彼の姉については色々と聞いていたが、
まさかその話題の本人から手紙が届くとは思いもしなかった
…イアンが私の話を彼女にしたのだろうか?
とりあえず部屋に持ち帰り、封を切って中身を取り出す
中には……見慣れた字体で書かれた文字が並んでいた
『久しぶりだな、ハイト
こうして手紙を送るのは何年ぶりだろうか
我が愚姉からの手紙だと思い驚いたことだろう
私が本物のイアンだ』
…………見れば分かるよ
本物とか偽物とか、そんなことをわざわざ言う必要あるのかな?
『特に用はないのだが…手紙の宛主の名の通り、こちらは
色々と面倒なことになっていてな
新学期が始まると同時に、ハテサルに姉が留学生として
君の学園に留まることになったんだ
……………僕の名を借りて』
どんな面倒なことが起こったら、君の名を借りて留学することになるんだい?
経緯が知りたい…
『多分………というか、絶対あの人は問題を起こす。だから
そうなった時…君に彼女のフォローをお願いしたいんだ。
勿論出来る範囲で構わない。………姉をよろしく頼む 』
なるほど…………そういう事か
でも確かリリアーヌ王女とは学年が異なる
彼女はイアンと同じ、2年だった
………後輩にあたるし、どこかで接点を作れば大丈夫だろう
タイミングを見計らってこの手紙のことをいえば……なんとかなる…かな
………し、心配だな
まぁその…ほら………彼女は独特な性格の持ち主だと聞くし…
どうしようかな……………出会い頭に殴られたら
護身術とか…
うーん……………
魔法が使えたらいいんだけど
思わず苦笑してしまう
イアンから聞く限り、彼女は魔法士の才能がある
魔法同好会に招待出来ればいいが……生憎メンバーの中にはそう言った類の人が怖くてならないという者もいる
それに……リリアーヌ王女は、ハテサルの何十年もいなかった、久しぶりの留学生として学園に来るのだ
一般人の集まりであるこの同好会には来たがらないだろう
私自身、一部の人にはあまりよく思われていない
ルームメイトのように、差別をしない人もいるにはいるが…
彼女はどちら側の人間だろう
一旦様子を見てから、声をかけることにしよう
イアンには悪いけど、私もタダで面倒を見る訳にもいかない
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
これは……すごいな
遠くから見たら、イアンにしか見えない
身長も同じ位だし………
徹底しているね
しかもあの魔力量
あれは…並の生徒では足元にも及ばない
ジークフリート殿下と互角に戦えるレベルは持っている
しかも………………彼女の使う属性は…
…とりあえず、メンバーに聞いてみよう
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「大丈夫ですよ!あんなに強い人は見たことがありません!」
思わぬ返答に驚く
「…ぐふふ…………俺もあんな人…見たことない」
大分興奮しているようだ
これなら迎えても問題はないだろう
ただ……
「彼を…どうやってここに連れてこようか」
「普通に誘拐で良くないですか?」
物騒だなぁ……
「一旦気絶させてから運びましょう」
「仮にも相手は王子だよ?」
嫌な予感しかしないよ
「数で勝てばいいんですよ。全員で襲い掛かりましょう!」
え、えぇ…………
大丈夫だろうか……………
メンバーの安全が心配だ
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