男装王女と、冷酷皇子の攻防 設定集

𝑹𝑼𝑲𝑨

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レイラの話

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教師の寮に入ったレイラはとても暇だった




今まで手のかかる主人の元で働いていたのだ

平和すぎて、日々恐々と過ごしている


(王女様…………リリアーヌは無事でしょうか…)

毎日王女の安全を祈るばかりだった



たまにリリアーヌの様子を見に行くが、

それでもいつもの姿を知っているため

恐ろしくてならないという
















レイラはリリアーヌが平民として暮らしていた時からの幼なじみだ




ひとつ年上だったレイラは、リリアーヌの姉ように接してきた
元々リリアーヌは明るい子で、村の人々からも愛されていた

レイラもその1人だ

手のかかる少女ではあるものの、周りを幸せにしてくれる



そんな温かな村での生活はレイラにとって、人生で1番幸せな時間だった











だが、ある事件が起こり、村が侵略されることになる

多くの村人が犠牲になった







彼女の母もその1人だ








当時6歳だったレイラは途方に暮れることになる

大勢の兵士に追われる日々



レイラの心は日に日に弱っていった










ところがある日、逃げた先でリリアーヌ親子に偶然会い、行動を共にすることになる


壮絶な日々だったが、一人でいるよりは心強い





優しい女性

明るい少女




彼女は2人無しでは生きられなくなっていた





それから5ヶ月ほどは平和な日々を過ごした


リリアーヌの母はレイラに対して、まるで娘のように接してくれる


元々村の団結力が強く、密接な関係だったのもあるが




一緒に洗濯を干したり、

一緒に踊りを踊ったり、

一緒に眠ったり…




彼女はとても支えられていた






だがそんな平和な日々も長くは続かない


リリアーヌの父親が国王であることが発覚し、幼い少女だけ連れていかれることになってしまった




リリアーヌがこの国の王女

村を壊した人の娘


最初は恨んだが、彼女の恐怖に満ちた顔を見てすぐに考えは変わった



この少女に、王女様に仕えよう





何故かそうしなければならないと思った


彼女に向けて、誓いを立てる


リリアーヌは、レイラや村の人のためになることをすると言った


まだ5歳の少女が

この国の王女様は、とても優しい人だった





一時は離れてしまったが、侍女になるため努力してようやく

王族の側に仕えられる所まで上り詰めた



5年も時間がかかってしまったものの、14歳の娘が王族に仕えるなど、異例だった



5年ぶりの再会

嬉々として部屋に入ったが、


それはそれは悲惨なことになっていた



清潔感は一切なく、そこら中にゴミが落ちている

部屋は荒れ果て、とても一国の王女が住まうところではない







彼女が誓いを立てた王女は、除け者だった

国王にとって、汚点


外部に知られたくないのか、部屋から出すことを許さない

国民にすら、認識されていない











でも

それでも、


久しぶりに見た王女の姿は変わっていなかった






身長は伸びて、髪も長くなっているが

それでもあの時に誓いを立てた王女だった



口調もあの時とほとんど変わっていない

国王や兄弟の前では、淑女として
ある程度の態度を取っているようだが、

根は変わっていない






あの時と同じ

陽だまりのような笑顔で……………



ーーーーーーー

















(………本当にすごいです)


あの環境で5年も過ごしていたら、多少性格が変わっていてもいいのに






それでも………………………………………




(本当に貴女は凄いわ…リリ)


王女に向けて微笑む









もう2度と呼べない名前


心の中だけ許される


もう2度とあの頃の生活は送れないだろう

それは…分かっていた












どうしようもない主人だが…

それでも私はあの人のそばにいる









もうきっと、彼女無しには生きれない
















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