喋りたい事なんて

散乱坊

文字の大きさ
上 下
10 / 11

10 不倫ってなんですか?

しおりを挟む
つゆが実家に突然戻って3日目、まだ帰って来ない。
何で俺から離れる?
何があった?
俺達、上手くいってたよな?
俺が何か怒らすような事したか?
わからない・・・
でも怒ってんだよな・・・

会社行かなきゃ・・・
「佐藤さん♪」
「山崎さん・・・」
「お帰りなさい、新婚旅行どうでした?」
いつも笑顔で可愛い山崎さん。
ああ癒される。
「うん、楽しかったよ。お祝いありがとうね。お土産買ってきたから後で渡すね」
「ありがとうございます♪」
「うん、皆で食べてね、定番のチョコレートだけど」
「はい!」
ヤバい、可愛い。
あぁ、つゆがいなかったら絶対手を出してたな俺。
「いいなぁ。私も佐藤さんとイタリア行ってみたかったなぁ。」
はい?
「え?」
山崎さんが小首を傾げて笑顔を向けた。
「なんてね。冗談ですよぉ。奥さんに怒られちゃう。」
おいおい冗談か?それ?不倫のお誘いじゃぁないよな?
「あ、うん、冗談って、何言ってんだよ」
ふふふと笑った。
「でもぉ佐藤さんさえ良ければ、今度飲みに行きません?一度佐藤さんと飲みに行って会社の事とか色々相談したいって思ってたんですよぉ」
と言いながら山崎さんがソッと俺の腕を掴んできた。
これは不味い。ヤバい。不倫はマジヤバい。それも社内って。
「あはは、じゃあ今度皆で行こうか」
「はい!是非お願いします」
・・・不倫回避!
ちょっと残念だけど。いやいや俺には可愛い奥さんがいる!
・・・帰って来ないけども。

「おい、佐藤お前山崎さんと飲みに行く約束したのか?」
はい?
同期の岡田が昼休みに話しかけてきた。
「あ、うん、さっき相談したい事があるって言ってたから、じゃあ皆で飲みに行きがてらって話しはしたけど」
「ふぅん」
岡田が怪訝そうな顔をする。
「山崎さんから聞いた?」
「聞いたって言うか、山崎さんがデスクで隣の奴に喋ってたぞ」
「へぇ」
「佐藤さんと飲みに行くって・・・」
「あ、そう」
「デートだって」
「あ、そう・・・っては?」
「気を付けろよお前。新婚で社内不倫はやめろ」
はぁぁ!?何言ってんの、あの女!
あり得ない!絶対にあり得ない!

明日つゆを向かえに行こう。
絶対連れて帰ろう。
それでいっぱいいっぱい抱きしめよう。
それで、俺の何が悪いかわからないけど許してもらおう。
よし、帰ろう。
「佐藤さん♪」
ん?
振り返ると山崎さんがいた。
この女、マジうざい。
「えっとぉ、さっきのお話し今から時間どうですか?」
おいおい行動早いな!行かないけど。
「あ、うん、今日はちょっと予定があって」
「そうですか・・・でも一時間だけでも相談駄目ですか?本当に私困ってて」
マジで相談なのか?
「お願いいたします!一時間だけでも!」
はぁどうやらマジっぽいな。ま、いいか。
「うん、いいよでも一時間だけな」
「はい!ありがとうございます!」

気が付けば俺はベッドにいた。
隣には山崎さんが寝ている。
二人共に裸だ。
ええええええええ!?
なんだ!?何があった!?
俺、やっちゃった!?
「ううん、佐藤さんおはようございます」
「あ、あ、ああおはよう・・・」
くすっ。山崎さんが微笑む。
「大丈夫です。奥さんには絶対言いません。もちろん会社にも」
「えっと、ごめん、俺、何も覚えてなくて・・・」
「えっ?」
「マジごめん、俺達ってもしかしてやっちゃった?」
山崎さんの顔が曇る。
「覚えてないんですか?昨夜の事」
「うん、ごめん」
「そうですか」
「本当にごめん」
「あんなに激しく抱いてくれたのに・・・」
マジかぁ・・・俺、何してんだよ!
「奥さんが出てって寂しいからって・・・」
ウワアアアア!
「佐藤さん、好きです・・・ずっと好きでした。不倫でもいいんです・・・時々でいいので・・・抱いて下さい・・・」
ああああ、駄目だろ俺!山崎さんが可愛いく見える。
時々って・・・いやいや駄目だろ!
「佐藤さん・・・」
俺の胸で震えて懇願する山崎さんがとてもいじらしくて愛しいと思えて、気が付けば俺は山崎さんを抱きしめていた。
「あああ、佐藤さん、佐藤さん、もっと抱いて下さい、私壊れてもいい。あっ・・・」
我を忘れ山崎さんを貪るように愛撫していた。
そしてあろうことか、俺の下半身は山崎さんの股を激しく激しく愛し続けた。

・・・俺は、どうしようもない。
俺は、どうすれば・・・。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

彼はもう終わりです。

豆狸
恋愛
悪夢は、終わらせなくてはいけません。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

裏切りの代償

志波 連
恋愛
伯爵令嬢であるキャンディは婚約者ニックの浮気を知り、婚約解消を願い出るが1年間の再教育を施すというニックの父親の言葉に願いを取り下げ、家出を決行した。 家庭教師という職を得て充実した日々を送るキャンディの前に父親が現れた。 連れ帰られ無理やりニックと結婚させられたキャンディだったが、子供もできてこれも人生だと思い直し、ニックの妻として人生を全うしようとする。 しかしある日ニックが浮気をしていることをしり、我慢の限界を迎えたキャンディは、友人の手を借りながら人生を切り開いていくのだった。 他サイトでも掲載しています。 R15を保険で追加しました。 表紙は写真AC様よりダウンロードしました。

私の恋が消えた春

豆狸
恋愛
「愛しているのは、今も昔も君だけだ……」 ──え? 風が運んできた夫の声が耳朶を打ち、私は凍りつきました。 彼の前にいるのは私ではありません。 なろう様でも公開中です。

側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。

とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」 成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。 「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」 ********************************************        ATTENTION ******************************************** *世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。 *いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。 *R-15は保険です。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

皇太子殿下の秘密がバレた!隠し子発覚で離婚の危機〜夫人は妊娠中なのに不倫相手と二重生活していました

window
恋愛
皇太子マイロ・ルスワル・フェルサンヌ殿下と皇后ルナ・ホセファン・メンテイル夫人は仲が睦まじく日々幸福な結婚生活を送っていました。 お互いに深く愛し合っていて喧嘩もしたことがないくらいで国民からも評判のいい夫婦です。 先日、ルナ夫人は妊娠したことが分かりマイロ殿下と舞い上がるような気分で大変に喜びました。 しかしある日ルナ夫人はマイロ殿下のとんでもない秘密を知ってしまった。 それをマイロ殿下に問いただす覚悟を決める。

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします

希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。 国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。 隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。 「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

処理中です...