おばあちゃんなんて大嫌い

おばあちゃんは非常識

「ねぇねぇちょっとちょっと！」
同居するお義母さんが駆け寄って来た。
「なぁに？」
「今時の子は凄いねぇ、お財布見たら小学生なのに五万円も入ってるよ」
は？今何て言った？このばばぁ！
「は？」
「だからお財布！」
ちょっと待て、は？
「え？」
「もう、わからないの！？だから財布をちょっと覗いて見たの！」
意味がわからない。
何で他人の財布覗いてんの？
「えっとぉ、それって勝手に見たの？見せてくれたの？」
「ちょっと気になって覗いて見たのよ」
あ？それって犯罪じゃね？何で？どうしてそんな事しようと思った？っていうか小学生の子って誰！？
混乱中の私に更なる追い討ちが続く。
「隣の奥さんにもさっき話してきたけど・・・」
んんんんん？待て待て待て待て！話してきた？隣の奥さんに？
意味が全く持ってわからない。
「ちょっちょっと待って、お義母さん・・・」
落ち着け私、落ち着くんだ、私、落ち着けぇ落ち着けぇ。
よし、落ち着いた。
ふぅ。 
「で、小学生の子って、さっきまで遊びに来てた紗江の友達の事？」
「そうそう、由紀ちゃんが五万円も持ってたのよ！」
お義母さんは興奮してるのか鼻息荒く言った。
くらっ。
目眩がした。
何を言ってるんだこの人は？
人様の財布を勝手に見てそれをあろうことか隣の奥さんにも話しただと！？
大丈夫か？頭おかしいのか？
「でね、隣の奥さんもびっくりしてて」
ああそうだろうとも、びっくりもするわな！
子供のとは言え財布を覗くって、そりゃ無いだろ？
「で・・・それで隣の奥さんは何て言ってたの・・・？」
「よく見れたねって」
ああ・・・呆れられてるじゃん。
「だから、でしょう♪って」
あ？
でしょう♪って・・・
じゃねぇんだよ！何勘違いしてんの？
誉めてないよ？
それ、呆れてるからね？
もう、お義母さん隣近所からヤバい奴認定されたからね！
マジで頭おかしいのか？
「びっくりだよねぇ」
いやいや、びっくりなのはあんただよ！

はぁ、もう近所付き合いヤバいじゃん・・・
何て事してくれてんの？

お義母さん・・・
結納の時「私達の老後の面倒は頼んだからよろしくね」って言われたけど、それ反故にして良いですか？
申し訳ないけど、あなたの息子さんと私と子供三人、この家から出てって良いですか？

後日、私と旦那さんで由紀ちゃんの家へと向かう事となる。

お義母さんは今年７２歳のおばあちゃん。