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15.感謝してる
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私、魔法使えるようになったの?
今までできないと思ってたことがいきなりできるようになったと言われても、変な感じだわ。
「魔法って……、どうやって使うの?」
「魔法陣を使う場合は、魔力がある人が決まった図を描くと発動する。魔力量が少なくても、発動できる。ただ、魔法陣を正しく描く必要がある」
ライアンが魔法について説明してくれる。
「即時魔法――その場で発動させる場合は、最初はある程度決まった言葉の詠唱が必要で、慣れてきたら詠唱なしでも発動できる」
ぽんと手を叩いで、私に言った。
「まずは火をつける魔法から始めよう」
それから私はライアンに魔法も教えてもらうようになった。
私の魔力量だと、火をつけるにしても即時魔法は使えて1回だけだったので、魔法陣を使った魔法の方が便利だった。ただ魔法陣は少し描き間違えると発動しないので、そこが難しい。線一本で火を起こすにしても加減が変わるので、迷うことなくそれが描けるライアンはすごいと思う。
そう伝えると、ライアンは自嘲気味に言った。
「俺も魔力量が少ないから、修行続けるのに魔法陣でどうにかするしかなくてね」
魔法使いの世界というのは魔力量があって、即時魔法がどれだけ使えるかで階級が決まるらしい。――確かに毎回正確に魔法陣を描くのは結構大変だと思うけど。
「でも……魔物を食べたら魔力量が上がるなら、魔力量がない人はあなたみたいに、みんな魔物を食べればいいのにね」
そう言うと、ライアンは気まずそうな顔をして一瞬黙った。
「……どうしたの?」
「――魔物を食べるのは、禁忌なんだ本当は」
「魔物を食べると、魔物みたいになってしまうって言われてる。ほら、肉も普通じゃ食べれないくらい不味いし、食べようと思うやつもいなかったんじゃないか。そもそも、魔物を食べれば魔力量が増えそうだっていうのは俺の仮説だったんだ」
「――実際に増えるかどうかはわからなかったってこと?」
「実は。でもそれしか認定試験を突破できる方法がない気がしたから、試してみるかってね」
ライアンは私の手をとって真剣な表情をした。
私は一瞬どきっとした。
初めの頬がこけていた時に比べると、少しふっくらして形のいい卵型の顔になっている。
相変わらず髪はぼさぼさだし髭も生えたままだけど……。
ライアンってすっきりさせたら結構格好良いんじゃないかしら……。
「でも実際、魔力量は増えてきてる。この調子であとしばらく続ければ、試験もどうにかなりそうだ。あんたには本当に感謝してる」
……そんなに真っ直ぐに感謝されると、照れるわね。
私は視線をぐるっと一回りさせながら答えた。
「私も、魔法を使えるようになるなんて思わなかったし……、あなたの役に立てて良かったわ」
ため息の後に付け加える。
「料理なんて……、使用人の仕事だからできたってしょうがないって……、他のことができなきゃ意味がないって言われてたから……」
「他のこと、とは?」
「ダンスとか――、もっと社交に役立ちそうなこと?」
「それを言った奴は馬鹿じゃないか」
ライアンは一笑して、言い切った。
「ここで踊ったって何にも出てこない」
私はぽかんとしてから、ふふっと笑った。
「それも、そうね」
今までできないと思ってたことがいきなりできるようになったと言われても、変な感じだわ。
「魔法って……、どうやって使うの?」
「魔法陣を使う場合は、魔力がある人が決まった図を描くと発動する。魔力量が少なくても、発動できる。ただ、魔法陣を正しく描く必要がある」
ライアンが魔法について説明してくれる。
「即時魔法――その場で発動させる場合は、最初はある程度決まった言葉の詠唱が必要で、慣れてきたら詠唱なしでも発動できる」
ぽんと手を叩いで、私に言った。
「まずは火をつける魔法から始めよう」
それから私はライアンに魔法も教えてもらうようになった。
私の魔力量だと、火をつけるにしても即時魔法は使えて1回だけだったので、魔法陣を使った魔法の方が便利だった。ただ魔法陣は少し描き間違えると発動しないので、そこが難しい。線一本で火を起こすにしても加減が変わるので、迷うことなくそれが描けるライアンはすごいと思う。
そう伝えると、ライアンは自嘲気味に言った。
「俺も魔力量が少ないから、修行続けるのに魔法陣でどうにかするしかなくてね」
魔法使いの世界というのは魔力量があって、即時魔法がどれだけ使えるかで階級が決まるらしい。――確かに毎回正確に魔法陣を描くのは結構大変だと思うけど。
「でも……魔物を食べたら魔力量が上がるなら、魔力量がない人はあなたみたいに、みんな魔物を食べればいいのにね」
そう言うと、ライアンは気まずそうな顔をして一瞬黙った。
「……どうしたの?」
「――魔物を食べるのは、禁忌なんだ本当は」
「魔物を食べると、魔物みたいになってしまうって言われてる。ほら、肉も普通じゃ食べれないくらい不味いし、食べようと思うやつもいなかったんじゃないか。そもそも、魔物を食べれば魔力量が増えそうだっていうのは俺の仮説だったんだ」
「――実際に増えるかどうかはわからなかったってこと?」
「実は。でもそれしか認定試験を突破できる方法がない気がしたから、試してみるかってね」
ライアンは私の手をとって真剣な表情をした。
私は一瞬どきっとした。
初めの頬がこけていた時に比べると、少しふっくらして形のいい卵型の顔になっている。
相変わらず髪はぼさぼさだし髭も生えたままだけど……。
ライアンってすっきりさせたら結構格好良いんじゃないかしら……。
「でも実際、魔力量は増えてきてる。この調子であとしばらく続ければ、試験もどうにかなりそうだ。あんたには本当に感謝してる」
……そんなに真っ直ぐに感謝されると、照れるわね。
私は視線をぐるっと一回りさせながら答えた。
「私も、魔法を使えるようになるなんて思わなかったし……、あなたの役に立てて良かったわ」
ため息の後に付け加える。
「料理なんて……、使用人の仕事だからできたってしょうがないって……、他のことができなきゃ意味がないって言われてたから……」
「他のこと、とは?」
「ダンスとか――、もっと社交に役立ちそうなこと?」
「それを言った奴は馬鹿じゃないか」
ライアンは一笑して、言い切った。
「ここで踊ったって何にも出てこない」
私はぽかんとしてから、ふふっと笑った。
「それも、そうね」
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