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12.魔物に襲われたけど何とかなった
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恐る恐る振り返る。茂みの中から尖った牙と角が私の方に向かって飛び出ていた。そして、真っ赤に光る大きな一つ目。それはとても大きな一つ目の猪だった。
――魔物だわ。
魔物は真っ赤な目をしていて、普通の動物と明らかに違う見た目をしている。
角がないはずの動物に生えていたり、目が一つだったり。
「わ……ぁ」
私はその場で腰を抜かして後ずさった。
一つ目の猪はそんな私をその目で見据えて、これからやるぞ、という風にぶるると身震いをしてから身体を少し低くした。
走ってくるわね、こっちに。
どうしよう、あんなのがぶつかってきたら大怪我……というか死ぬんじゃ……。
私は手に持った籠いっぱいにもいだ赤い実を手に取ると、その獣に向かって投げつけた。まとまって宙を飛んだ実は大きな目に当たった。グゥと猪は大きく吠えて飛び上がった。……触っているだけで手がヒリヒリしてくる実だから、目に入れば痛いはず……ってそんなことを考えている場合じゃないわ。
身を翻すとテントのある方向に向かって全力疾走した。魔物除けの魔法陣を描いてあるって言ってたわ。そこまで逃げればたぶん追いかけてこないはず……。
どうにか河原に飛び出て、テントの前で私はへたった。
周囲には燻製のいい匂いが漂っていた。
何とか……逃げられたわ……。
大きく息を吐いたその時、ぐるるという唸り声が耳に入って来た。
振り返ると……、
「何でいるのよ!」
思わず叫ぶ。あの一つ目の猪がテントの後ろから私の方を見ていた。
ライアンの嘘つき。魔物除けっていうのは何なのよ、ついてきちゃってるじゃない。
あああ、どうしよう。
私はテントの中に逃げ込んだ。
こ、この中にまでは入ってこないわよね。何か防ぐような魔法をかけているわよね。
一応手にナイフとフライパンを持って済で身構えていると、どんっとテントが揺れた。
テントの壁に黒い大きな影が映った。
「体当たり、してる?」
そう考えている間に、びりっと角がテントを突き破った。
テントを引き裂いて一つ目の猪が姿を現す。
そして、私に向かって突進してきた。
「きゃああああああ」
叫びながらテントの入り口目が目て駆け出す。
あああ、こんなところで死にたくない……。
その時、背後で獣の断末魔のような声がした。振り返るとテントの後ろ半分が崩れている。猪は追いかけてこない。
何が起こったの?
テントの中を覗き込むと、一つ目の猪は黒い血を流しながらテントの隅にバラバラになって転がっていた。……特に血が溜まっているのは、
「――木を砕いた魔法陣のところ……」
ライアンが木片を砕くために描いた魔法陣のところだった。
「危ないから手を入れるなよ!」と言っていたことを思い出す。
「危ないどころの騒ぎじゃ、ないじゃない……」
助かったけど……。
どうやら猪はあの魔法陣に足を踏み入れて、魔法の刃で刻まれてしまったらしい。
「……魔物は、血もお肉も黒いのね……?」
恐る恐る動かなくなった猪に近寄る。
……これも、食べれるかしら……。
ふとそんなことを考えた私は、とりあえず猪の身体を川に運んで水に漬けることにした。
こうしておけば、冷やせるし、血が流れていくでしょう。
――後の処理はライアンにやってもらおう。
一通り運び終わってから、私は河原にしゃがみこんで呟いた。
「……疲れたわ……」
燻製の良い匂いが漂ってくる。空腹が限界だった。
私は木箱を開けると、すっかり水分が飛んでぱりっと仕上がった一角兎の燻製を一つ手に取った。鼻の奥に響く臭いがあるけれど、香木の煙と混ざって、昨日の鍋のような異臭はしない。癖があるけれど、嫌な臭いではない香りだった。
「いただきます……」
それを口に入れてかじってみると、
「……いけるわ」
思いのほか、美味しいと言ってもいいくらいの味だった。
苦味があるけれど癖になる苦味というか。硬いパンに乗せて食べたい感じだ。
私はぽりぽりと燻製肉をかじった。
そうしているうちに夕暮れになり、リュックを背負ったライアンが帰って来た。
「な、何があったんだ……?」
後ろ半分が壊れたテントと、川に浮かぶ猪と私を見比べてその場に立ちすくんでいた。
――魔物だわ。
魔物は真っ赤な目をしていて、普通の動物と明らかに違う見た目をしている。
角がないはずの動物に生えていたり、目が一つだったり。
「わ……ぁ」
私はその場で腰を抜かして後ずさった。
一つ目の猪はそんな私をその目で見据えて、これからやるぞ、という風にぶるると身震いをしてから身体を少し低くした。
走ってくるわね、こっちに。
どうしよう、あんなのがぶつかってきたら大怪我……というか死ぬんじゃ……。
私は手に持った籠いっぱいにもいだ赤い実を手に取ると、その獣に向かって投げつけた。まとまって宙を飛んだ実は大きな目に当たった。グゥと猪は大きく吠えて飛び上がった。……触っているだけで手がヒリヒリしてくる実だから、目に入れば痛いはず……ってそんなことを考えている場合じゃないわ。
身を翻すとテントのある方向に向かって全力疾走した。魔物除けの魔法陣を描いてあるって言ってたわ。そこまで逃げればたぶん追いかけてこないはず……。
どうにか河原に飛び出て、テントの前で私はへたった。
周囲には燻製のいい匂いが漂っていた。
何とか……逃げられたわ……。
大きく息を吐いたその時、ぐるるという唸り声が耳に入って来た。
振り返ると……、
「何でいるのよ!」
思わず叫ぶ。あの一つ目の猪がテントの後ろから私の方を見ていた。
ライアンの嘘つき。魔物除けっていうのは何なのよ、ついてきちゃってるじゃない。
あああ、どうしよう。
私はテントの中に逃げ込んだ。
こ、この中にまでは入ってこないわよね。何か防ぐような魔法をかけているわよね。
一応手にナイフとフライパンを持って済で身構えていると、どんっとテントが揺れた。
テントの壁に黒い大きな影が映った。
「体当たり、してる?」
そう考えている間に、びりっと角がテントを突き破った。
テントを引き裂いて一つ目の猪が姿を現す。
そして、私に向かって突進してきた。
「きゃああああああ」
叫びながらテントの入り口目が目て駆け出す。
あああ、こんなところで死にたくない……。
その時、背後で獣の断末魔のような声がした。振り返るとテントの後ろ半分が崩れている。猪は追いかけてこない。
何が起こったの?
テントの中を覗き込むと、一つ目の猪は黒い血を流しながらテントの隅にバラバラになって転がっていた。……特に血が溜まっているのは、
「――木を砕いた魔法陣のところ……」
ライアンが木片を砕くために描いた魔法陣のところだった。
「危ないから手を入れるなよ!」と言っていたことを思い出す。
「危ないどころの騒ぎじゃ、ないじゃない……」
助かったけど……。
どうやら猪はあの魔法陣に足を踏み入れて、魔法の刃で刻まれてしまったらしい。
「……魔物は、血もお肉も黒いのね……?」
恐る恐る動かなくなった猪に近寄る。
……これも、食べれるかしら……。
ふとそんなことを考えた私は、とりあえず猪の身体を川に運んで水に漬けることにした。
こうしておけば、冷やせるし、血が流れていくでしょう。
――後の処理はライアンにやってもらおう。
一通り運び終わってから、私は河原にしゃがみこんで呟いた。
「……疲れたわ……」
燻製の良い匂いが漂ってくる。空腹が限界だった。
私は木箱を開けると、すっかり水分が飛んでぱりっと仕上がった一角兎の燻製を一つ手に取った。鼻の奥に響く臭いがあるけれど、香木の煙と混ざって、昨日の鍋のような異臭はしない。癖があるけれど、嫌な臭いではない香りだった。
「いただきます……」
それを口に入れてかじってみると、
「……いけるわ」
思いのほか、美味しいと言ってもいいくらいの味だった。
苦味があるけれど癖になる苦味というか。硬いパンに乗せて食べたい感じだ。
私はぽりぽりと燻製肉をかじった。
そうしているうちに夕暮れになり、リュックを背負ったライアンが帰って来た。
「な、何があったんだ……?」
後ろ半分が壊れたテントと、川に浮かぶ猪と私を見比べてその場に立ちすくんでいた。
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