17 / 18
異界召喚編
第十六話 対女神
しおりを挟む
「戦法、怒涛叩解」
「仙術じゃなくて、戦法?」
女神は驚いた。
攻め入ってきたことではない。
そのような事態は想定済みだ。そうではなくて、なぜ、戦法が使えるか、だ。
仙法でもない。
「…ふむ」
治神。年齢不詳。
但し、恐ろしく長い悠久の時を過ごしているのは事実。
また、歳を重ねるにつれ、知識も増えていく。
治癒の女神、治神はその莫大な知識の中から、戦法を思い出す。
「…」
女神の相手は最高位騎士、エーデルガンドが五人。
それから、
「漆黒の魔法使い…か」
反耳長族…いや、
「闇妖精…か」
妖精の里へ行くと分かるが、耳長族の真名は、森妖精である。
そして、その中でも、驚異的な魔法を使える闇妖精。
(厄介ね…)
女神は内心毒づく。
もともとこの事態を想定し、召喚した者たちはみな逃がしたのだが。
と、考えていると、エーデルガンドの一人が戦法を使い、女神に攻撃してきた。斧による大胆な大ぶり。
「ま」
いいかしら、と。
女神は微笑んだ。
何。
私に攻撃できるものは、いない、と。
そうたかをくくっているのだ。
何故なら、通常、神に攻撃を通すことは不可能だからだ。
創造されたものは、創造した者を倒すことができない。
それに、女神はあらゆる魔法攻撃と物理攻撃を防ぐ。
故に、
(まぁ、見てあげましょうか)
エーデルガンドの一人、黒髪の男は戦法を使い女神へと攻撃する。
それは、思い出そうとしたがそもそも記憶になかった、女神の知識にもない技である。
「…」
とは言え女神も馬鹿ではない。
流石に自分の知らない技には警戒する。
「…?」
疾風の如き拳が女神へと降り注ぐ。
「…はぁ、ほんとうに」
呆れたようにそれを手であしらう女神。
彼女にとってみればそれは止まって見えた。
のだが。
「…ぶふっ!」
黄金の血が口から漏れる。
「…は?」
女神の血は黄金の色である。
「…」
(攻撃は直接食らってはいないはず…!?それに私は人間種の物理攻撃は全て無効なはず………!?まさか!)
最高位騎士、エーデルガンド。
一体誰が、それが人であると言っただろうか。
「…ぶふっ…!亜神か!」
それは、女神から見ればすぐに分かった。溢れ出す神聖の力。
亜神種であるというのは見てすぐわかった。
「ぶ…」
どろりと喉の奥から熱い液が溢れ出す。
生命の泉とも表現されるそれは、人が浴びればすぐさま再生するほどのものである。
黄金の血は価値が高く、1ミリリットルでも数百万円単位で売られるほど。
「…」
亜神。
半神ではない。半神は人が神に成った姿。
亜神は神と人の間のもの。
要は、
「この、出来損ないがっ!!」
女神の目が見開かれる。
額から赤き瞳が出現。
女神の第三の目。
効果。
人間種に対してのみ、石化、即死、反重力を与えることが可能。
追加効果。
女神の全体的な能力の超向上。
「…貴様、一体何の亜神だ…?」
「お前に教える義務はあるまい」
「…そうか。」
……?
待てよ。
何か、違和感を感じる。
「…あの、闇妖精…!」
…エーデルガンドは、まさか!
「ありえな」
「五柱発動型捕縛術式展開」
五人のエーデルガンドが女神を囲い、猛攻。
すぐさま、次元転移を使用しようとするが。
「…どうして?」
発動せず。
予めあの小娘が転移阻害をかけていたのか。
「いや、それよりも…!」
あの小娘…!そういうことか。
「だから、闇妖精ではなく、反耳長族なのね」
天才魔法使い、アルペ。
そう。これは、単純なパワーの話になるが。
まず、体術に関して、一対一で勝つことは、片方が強大であれば、容易にその片方が勝利する。
では、三対一ならどうだろうか。
その場合、仮に相手が一般、普通程度のちからであっても、強大な力をもつものの勝率はぐっとさがる。
およそ、三割から、四割まで。
そして、相手が五人にもなれば、それは、ほぼ勝率がない、とも言える。
だがしかし。
そんな状況を簡単に変えることができるものが存在する。
そう。武器である。
武器を使えば容易に殺戮が可能だ。
剣というまず斬り殺すものが出来て、銃という殺戮の象徴のようなものができた。
或いは、爆弾など。
そうして、大量虐殺が可能になった。一個の個体値、能力値など関係なく。
だがしかし。
その武器さえくつがえすものがあった。
武器に体術がかなわないように。
それに武器はかなわない。
それこそが。
「魔法──」
エーデルガンド五人の体が光る。
「闇喰」
黒き蛇のようなものが、現れた。
「仙術じゃなくて、戦法?」
女神は驚いた。
攻め入ってきたことではない。
そのような事態は想定済みだ。そうではなくて、なぜ、戦法が使えるか、だ。
仙法でもない。
「…ふむ」
治神。年齢不詳。
但し、恐ろしく長い悠久の時を過ごしているのは事実。
また、歳を重ねるにつれ、知識も増えていく。
治癒の女神、治神はその莫大な知識の中から、戦法を思い出す。
「…」
女神の相手は最高位騎士、エーデルガンドが五人。
それから、
「漆黒の魔法使い…か」
反耳長族…いや、
「闇妖精…か」
妖精の里へ行くと分かるが、耳長族の真名は、森妖精である。
そして、その中でも、驚異的な魔法を使える闇妖精。
(厄介ね…)
女神は内心毒づく。
もともとこの事態を想定し、召喚した者たちはみな逃がしたのだが。
と、考えていると、エーデルガンドの一人が戦法を使い、女神に攻撃してきた。斧による大胆な大ぶり。
「ま」
いいかしら、と。
女神は微笑んだ。
何。
私に攻撃できるものは、いない、と。
そうたかをくくっているのだ。
何故なら、通常、神に攻撃を通すことは不可能だからだ。
創造されたものは、創造した者を倒すことができない。
それに、女神はあらゆる魔法攻撃と物理攻撃を防ぐ。
故に、
(まぁ、見てあげましょうか)
エーデルガンドの一人、黒髪の男は戦法を使い女神へと攻撃する。
それは、思い出そうとしたがそもそも記憶になかった、女神の知識にもない技である。
「…」
とは言え女神も馬鹿ではない。
流石に自分の知らない技には警戒する。
「…?」
疾風の如き拳が女神へと降り注ぐ。
「…はぁ、ほんとうに」
呆れたようにそれを手であしらう女神。
彼女にとってみればそれは止まって見えた。
のだが。
「…ぶふっ!」
黄金の血が口から漏れる。
「…は?」
女神の血は黄金の色である。
「…」
(攻撃は直接食らってはいないはず…!?それに私は人間種の物理攻撃は全て無効なはず………!?まさか!)
最高位騎士、エーデルガンド。
一体誰が、それが人であると言っただろうか。
「…ぶふっ…!亜神か!」
それは、女神から見ればすぐに分かった。溢れ出す神聖の力。
亜神種であるというのは見てすぐわかった。
「ぶ…」
どろりと喉の奥から熱い液が溢れ出す。
生命の泉とも表現されるそれは、人が浴びればすぐさま再生するほどのものである。
黄金の血は価値が高く、1ミリリットルでも数百万円単位で売られるほど。
「…」
亜神。
半神ではない。半神は人が神に成った姿。
亜神は神と人の間のもの。
要は、
「この、出来損ないがっ!!」
女神の目が見開かれる。
額から赤き瞳が出現。
女神の第三の目。
効果。
人間種に対してのみ、石化、即死、反重力を与えることが可能。
追加効果。
女神の全体的な能力の超向上。
「…貴様、一体何の亜神だ…?」
「お前に教える義務はあるまい」
「…そうか。」
……?
待てよ。
何か、違和感を感じる。
「…あの、闇妖精…!」
…エーデルガンドは、まさか!
「ありえな」
「五柱発動型捕縛術式展開」
五人のエーデルガンドが女神を囲い、猛攻。
すぐさま、次元転移を使用しようとするが。
「…どうして?」
発動せず。
予めあの小娘が転移阻害をかけていたのか。
「いや、それよりも…!」
あの小娘…!そういうことか。
「だから、闇妖精ではなく、反耳長族なのね」
天才魔法使い、アルペ。
そう。これは、単純なパワーの話になるが。
まず、体術に関して、一対一で勝つことは、片方が強大であれば、容易にその片方が勝利する。
では、三対一ならどうだろうか。
その場合、仮に相手が一般、普通程度のちからであっても、強大な力をもつものの勝率はぐっとさがる。
およそ、三割から、四割まで。
そして、相手が五人にもなれば、それは、ほぼ勝率がない、とも言える。
だがしかし。
そんな状況を簡単に変えることができるものが存在する。
そう。武器である。
武器を使えば容易に殺戮が可能だ。
剣というまず斬り殺すものが出来て、銃という殺戮の象徴のようなものができた。
或いは、爆弾など。
そうして、大量虐殺が可能になった。一個の個体値、能力値など関係なく。
だがしかし。
その武器さえくつがえすものがあった。
武器に体術がかなわないように。
それに武器はかなわない。
それこそが。
「魔法──」
エーデルガンド五人の体が光る。
「闇喰」
黒き蛇のようなものが、現れた。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
ドアマットヒロインはごめん被るので、元凶を蹴落とすことにした
月白ヤトヒコ
ファンタジー
お母様が亡くなった。
それから程なくして――――
お父様が屋敷に見知らぬ母子を連れて来た。
「はじめまして! あなたが、あたしのおねえちゃんになるの?」
にっこりとわたくしを見やるその瞳と髪は、お父様とそっくりな色をしている。
「わ~、おねえちゃんキレイなブローチしてるのね! いいなぁ」
そう、新しい妹? が、言った瞬間・・・
頭の中を、凄まじい情報が巡った。
これ、なんでも奪って行く異母妹と家族に虐げられるドアマット主人公の話じゃね?
ドアマットヒロイン……物語の主人公としての、奪われる人生の、最初の一手。
だから、わたしは・・・よし、とりあえず馬鹿なことを言い出したこのアホをぶん殴っておこう。
ドアマットヒロインはごめん被るので、これからビシバシ躾けてやるか。
ついでに、「政略に使うための駒として娘を必要とし、そのついでに母親を、娘の世話係としてただで扱き使える女として連れて来たものかと」
そう言って、ヒロインのクズ親父と異母妹の母親との間に亀裂を入れることにする。
フハハハハハハハ! これで、異母妹の母親とこの男が仲良くわたしを虐げることはないだろう。ドアマットフラグを一つ折ってやったわっ!
うん? ドアマットヒロインを拾って溺愛するヒーローはどうなったかって?
そんなの知らん。
設定はふわっと。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
辻ヒーラー、謎のもふもふを拾う。社畜俺、ダンジョンから出てきたソレに懐かれたので配信をはじめます。
月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
ブラック企業で働く社畜の辻風ハヤテは、ある日超人気ダンジョン配信者のひかるんがイレギュラーモンスターに襲われているところに遭遇する。
ひかるんに辻ヒールをして助けたハヤテは、偶然にもひかるんの配信に顔が映り込んでしまう。
ひかるんを助けた英雄であるハヤテは、辻ヒールのおじさんとして有名になってしまう。
ダンジョンから帰宅したハヤテは、後ろから謎のもふもふがついてきていることに気づく。
なんと、謎のもふもふの正体はダンジョンから出てきたモンスターだった。
もふもふは怪我をしていて、ハヤテに助けを求めてきた。
もふもふの怪我を治すと、懐いてきたので飼うことに。
モンスターをペットにしている動画を配信するハヤテ。
なんとペット動画に自分の顔が映り込んでしまう。
顔バレしたことで、世間に辻ヒールのおじさんだとバレてしまい……。
辻ヒールのおじさんがペット動画を出しているということで、またたくまに動画はバズっていくのだった。
他のサイトにも掲載
なろう日間1位
カクヨムブクマ7000
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
ズボラ通販生活
ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる