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受け継ぐもの
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しおりを挟む――それから2年後。鷹の翼は取り潰されることも解散することもなく健在。
危うく鷹の翼を潰しかけた新選組におとがめはなく、彼らは今日もいつものように町の見回りに出かけている。
まるで何もなかったかのように、ということはないが。鳶と山崎はたまに、山奥で手合わせをしているんだとか。
お互いを高め合うため。というより山崎はとにかく鳶に勝ちたいがために、か。
丸3日かけて手合わせをして、なかなか戻ってこない2人を探しに来た雪と松原に大目玉を食らったのは言うまでもない。
雪はつい最近、待望の妊娠が発覚して屋敷の中で大人しく過ごしている。いやいや、そんなはずもなく。妊娠のうわさを聞き付けた沖田がからかいに来るので大暴走。
新しい命を身ごもったおかげなのか、雪はやっと胸が発達。女性らしくなって沖田も戸惑いを隠せない。
妊娠のせいでいつもよりも気が立っていてすぐに攻撃を仕掛けてしまうので、猫丸がそばについている。
その猫丸は、2年でかなり背が伸びて顔立ちも変わった。幼さが抜け、さらに猫の数が倍近く増えてもしっかりと群れの長として面倒を見ている。
決戦以来、鳶の呼びかけがあっても“山猫”にはなれず、代わりに“山猫”に匹敵するほどの強さを得た。
猫丸が“山猫”になるとその間の意識はない。しかし今度は意識のある強さなので猫丸自身が加減も、戦った後の反省もできるようになった。
決戦前に生まれた子猫には飼い主が決まった。名前を付けると約束していた雪ではなく、なぜか松原の手に渡り。やんちゃなのでよく、斎藤の睡眠を妨害し悪戯しまくっているんだとか。
意外なのは、決戦で「親しくなりたい」と明かした斎藤がごくまれに甘味処で高遠と一緒にいるところを目撃されているということ。
高遠は「生まれ変わったらダチになって飯を食いに行く」と約束を交わしていた。が、お互いに命を落とすこともなかったため、地味に友達になっているんだとか。
本当に地味に。なにせ斎藤の引きこもりは継続中で、それでも前よりは自分から町に赴くようになったんだが。その時に高遠と出会えば、という程度。
つまり斎藤は気が向いたら高遠を探しに行っていると。斎藤の引きこもりに手を焼いていた土方にとっては万々歳。
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