鷹の翼

那月

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ねこねここねこねこ

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 ブシュッ!傷口から血が吹き出し、猫丸の幼くも勇猛な顔を赤く染めた。かなり深く入ったか、右腕は真っ赤に染まって力なく動かない。

「ぐうっ!はっ……これほどまでとは、な……子供だからと少し、侮っていた」

「うぅっ…………今までの丸じゃあないの、にゃー。鷹の翼の皆を信じているし、皆も丸を信じてくれている。だけど、この子達を本当の意味で信じてあげられなかった。でも今は違う」

 猫丸達のように猫達もまた、この戦いを理解し覚悟を決めてついてきた。ただ1つ、猫丸の矛となり盾となるために。

 人間に使役される猫だからというくだらない壁はもうない。猫達が一斉攻撃でヒビを入れ、猫丸が最後の一撃で壊してしまった。

 猫達だって猫丸の、鷹の翼皆の仲間であり戦友、大切な家族なのだ。

 その、猫達の強く確かな想いを猫丸は信じきれなかった。だから猫達は不安に揺れる猫丸の心を敏感に感じ取って離れた。言葉が通じないからこそ想いは伝わる。

 その証拠に猫達は、猫丸が改心するとこうして戻ってきた。猫丸のために一生懸命に戦う。まるで、猫丸は1人ではないとでも言うように。

「そうだな。猫丸君は、この猫達と共にあってこその猫丸君だ。強く逞しくなったな」

「父親みたいなセリフ。変なのにゃー。うー…………なんか、変なのにゃーっ」

「私に子供があればちょうど、猫丸君くらいだろうな。はっはっはっ、我が子のように思うておるぞ。嫌か?」

「わ、笑うにゃーっ!嫌じゃない、変なだけにゃーっ!うあっ!うぅ、うーっ。こんな時に精神攻撃なんて、卑怯なんだにゃー……」

 事実、本当に松原は猫丸を自分の子供のように思っているのかもしれない。たとえ敵同士であっても、それは桜鬼と原田と永倉が酒の席では親しいように。

 鷹の翼と新選組ではなければきっと。なんて、2人はもう考えないのだろうな。鷹の翼と新選組だからこそ2人は出会えたのだから。

 猫達が松原の袖をつかむと肩から破り、鍛え上げられた逞しい腕が露わになる。破れた袖を頭からかぶってしまった白い猫を容赦なく蹴り飛ばす松原。

 本気になりより一層筋肉が盛り上がる腕に猫達が飛びかかるが、硬くて歯が立たない。しがみつくこともできずに軽々振り飛ばされる猫達を全て、猫丸は受け止めた。

 とても素早い。まるで瞬間移動のごとく、猫を抱き留めては下ろし跳んで次の猫を抱き留めては下ろす。動き回る猫丸の姿を、松原は笑みを浮かべて目で追う。

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