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ねこねここねこねこ
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しおりを挟む「うぅっ……頭領の、兄ぃの合図がなきゃ……丸は強くなれないのにゃー……うにゃあっ!?」
猫丸は自力で攻撃的な山猫にはなれない。山猫でなければ、松原の攻撃を避けることはできても猫丸の攻撃はほとんど効果がない。
容赦なく迫ってきていた薙刀をとっさにググッと体を縮めて避け、塀を蹴って距離を空ける。が、松原の薙刀は大きく長い。
すぐに振り返って持ち替えられた薙刀は逃げる猫丸の足を捕らえ、ザシュッ!とふくらはぎを斬りつけた。
転倒。ズザザザッ!と地面を滑ってもすぐさま起き上がろうとした猫丸の視界が、暗くなった。ハッと顔を上げれば真上で松原が薙刀を振り上げている。
「今だよ、トラさんッ!」
切れ味抜群に研がれた薙刀の刃がうずくまる猫丸の首を斬り裂こうとした瞬間、彼の大きな黒い目は松原の背後に向けられた。
突然の猫丸の叫び声にバッ!と跳び下がり身構える松原。しかし、トラさんと呼ばれた最初に小紅の指を噛んでしまったトラ模様の猫は現れない。
ハッタリだ。しまったと、絶好の機会を逃してしまった松原の前にもう猫丸の姿はない。
どこだ?キョロキョロとあたりを見回しても、彼の姿がなければ気配もしない。どこかに逃げたのか?いや、彼に限ってそれは性格的にも有り得ない。
必ずどこかで息をひそめている。それに、彼は足を負傷しているのだ。必ずその痕跡がある。
静かに息を吸って、集中力を高め彼の気配を探っていく。大きな薙刀を構えたままじっくり周りに目を凝らす。必ずどこかに、何かがあるはずだ。
シンと静まり返る中、遠くで他の人達が激しく戦っている音が聞こえる。金属同士がぶつかり合う音、物が壊れる音、叫び声。
緊張が走る中、松原の茶色い目は彼の痕跡を見つけた。地面を蹴る。
「今の猫丸君では私を倒すことなど到底できぬよ。まだ子供だし、殺さずとも動けぬようにしてやるゆえ、隠れてないで出てきなさい。そこにいるのはわかって、おるッ!!」
松原の薙刀が1本の松の木を一気になぎ倒した。あったのだ、痕跡が。松の木の下に、赤い血がポツポツと。負傷した足から流れ落ちた血だ。
たまらず倒れる松の木の上の方から猫丸が飛び出し、待ち構えていた松原の肩に飛び乗る。振り下ろされまいとしがみつき、ガブッ!と首元に噛みついた。
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