359 / 386
ねこねここねこねこ
1P
しおりを挟む「にゃー!にゃーんにゃにゃにゃにゃー、にゃにゃっ!にゃーん!」
こちらは猫丸と、年齢差が19歳の松原の戦場。2人以外には色も大きさも様々な猫達が、ざっと50匹?
すでに松原は全身血だらけだ。しかし、そのどの傷も深くはなく猫達による引っかき傷や噛み傷。ただし、猫丸による傷はひとつも見当たらない。
その猫丸はというと。塀の上に腰掛けて猫達が勇猛果敢に松原と戦っている様を眺めている。なるほど、そりゃあ松原の巨体に猫丸による傷がないはずだ。
前から後ろから右から左から上から下から、ひっきりなしに猫達が襲いかかる。一見、やみくもに飛びかかっているようだがとても統率が取れていて、松原に攻撃の隙を一切与えない。
彼の右腕に1匹の茶色い猫が噛みついた。続けて灰色の猫が、別の茶色い猫が飛びかかって噛みつきしがみつく。
松原は大きな猫に頭に乗られ、薙刀を振り回して対応中で右腕にまで手が回らない。坊主頭に爪を立て、尻尾で目を塞ごうとする大きな猫。
その間に今度は右腕にしがみついている猫達に別の猫がそれぞれ飛びかかり、3匹しがみつく。合計6匹。さらにその3匹にもう3匹の猫がしがみついて。
どんどん増えていけばズンズン重くなる。雪と張り合えるほどの怪力の松原でも、これは耐えられない。
ついに薙刀を持つ右手がガクンッと下がり、顔をゆがめる。苦しそうに、辛そうに。
「猫丸君は、私と戦わないのか?っと……ふんっ!猫を手にかけるのはいささか気が引けるが、致し方ない」
松原忠司、30歳。新選組の四番隊隊長の彼は永倉よりも少し大きな巨体で、雪のように体術も使うがもっぱら薙刀の名手。
その巨体からは想像もつかないほど身軽で、華麗に薙刀を振るう。そして、怪力。
己の右腕にぶら下がる猫達を悲しげに見つめると、グッと薙刀を握り締め思い切り振り上げる。猫達24匹は、散り散りに吹っ飛んだ。
「丸だって戦ってるのにゃー。この子達とは皆、心が繋がってるから。声に出さないで指示を出せば、感じ取ってくれるのにゃー」
松原の頭に乗っていた大きな猫も吹っ飛ばされ、猫丸が受け止める。塀を降り、他の猫達に目を向ける。
松原は相手が猫とはいえ多勢に無勢すぎて反撃できなかったのではない。愛らしい猫だからこそ、彼には傷つけることに躊躇いがあった。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる