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暴君と傍観者
6P
しおりを挟む肉体的にも精神的にも攻撃し続けて、彼がようやく刀を抜いた瞬間、高遠はニヤッと笑っていた。
斎藤から殺意を感じる。攻撃してくる。斬りつけられる。全てか嬉しかった。ヤバい方の趣味というわけではなく純粋に、相手が今、自分だけを意識しているのが嬉しかった。
だからより一層、高遠の心は奮い立たされ強くなる。やる気に満ちて、もっとどんどん強くなっていく。斎藤一に順応していく。
だがな高遠、伸びている斎藤の手にはまだ刀がしっかりと握られているんだぞ。嫌な予感しかしないが。
「…………殺すか」
倒れている斎藤の首筋に銀色のきらめきを押し当てる。あとは、このまま引くなり押し込むなりすれば頸動脈が切れて彼は死ぬ。
鷹の翼は決して命までは奪わない。これは命をかけた戦いだ。勝者は敗者の命を奪う。だが、高遠の手は動かない。
足元に転がる、ずっと肩や腕から出血し続けている斎藤を赤い瞳に映したまま、ただ見つめるばかりで動かない。何を考えている?
すごいじゃないか。方法はどうであれ、高遠があの斎藤を1人で倒すなんて。黒鷹も皆も褒めてくれるはずだ。
「いや…………身動きとれねぇようにすればいっか。縄……は、ねぇからこいつの帯でもほどいて……」
スッと銀のきらめきを首筋から離してしまった。何か考えがあるわけではないだろうから、ただ詰めが甘いんだろうな。
とどめを刺すのをやめた高遠はしゃがんで、斎藤の帯へと手を伸ばす。黒い帯をほどいて縄の代わりにするつもりか。
ここには太い木がない。柱にでもくくりつけて自分の戦いを終わらせる。それから、もっと強い土方を倒しに行く。高遠と斎藤の戦い、勝者は高遠。
「変態が」
指先が斎藤の帯に引っかかった。瞬間、高遠の視界の端で素早く動いた銀色の光。高遠の体が、ビクンッと跳ねた。
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