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暴君と傍観者
2P
しおりを挟む最後の戦いが始まった瞬間、皆それぞれ散らばった。斎藤もすぐに動いた。けれど彼はひっそりと裏に回って、あろうことかそのまま屋敷を出て帰ろうと企んでいた。
新選組の方が1人多いんだし、自分は鷹の翼に因縁も何もないんだしと。自分がいなくてもいいからという理由で、のちに降りかかる土方の超巨大雷が怖くないのか?
まぁ、特に何も気にすることなく、というか気にするのも面倒だという男だからな。
斎藤一、新選組の三番隊隊長。この性格でありながら、部下からは割と慕われている。
この性格でありながら、嫌だ面倒くさいとぼやきつつも、自分の隊員はもちろん他の隊員を叱るべき時はしっかり叱る。そして手合わせを受け部下を鍛えるのも怠らない。
この性格でありながら、着物や身だしなみへのこだわりはひと一番強い。髪型はいつも同じ、腰まである藍色の髪は緩く結っていて。白っぽい紫の着物と白っぽい青の袴は同じのが3着はある。
この性格でありながら、食事の当番になった時は分量をきっちり量らないと納得がいかない。どんなに急いでいても完璧にする。
と、何かと変な性格の斎藤。高遠より1つ年下の17歳で、6つも年上の土方を慕ってはいるものの言うことを聞かない。本当に必要最低限の仕事をこなすだけ。
その、こなすべき必要最低限の仕事の判断は上司である土方や近藤ではなく自分。自分で、自分がやらなくても、自分がいなくても大丈夫と判断すれば職務放棄。
入隊してから何度も何度も、ほぼ毎日土方や松原に注意を受けてはいるが。聞く耳もたず。右から左。
「はっ、待ってたぜ。う、らぁぁっ!」
「な、わぁぁっ!?」
ずっと穴の中でイライラ吠えていた高遠を踏みつけてやろうと、両手で耳を塞いだ斎藤が歩み寄る。その時、穴の縁からシュッと手が伸びてきた。
思い切って跳びながら伸ばされた高遠の手は斎藤の左足首をつかみ、穴の中へと引きずり込む。
見事、体勢を崩した斎藤は抵抗もできず足から穴の中へ引きずり込まれ……なんて情けないことはなく。
「なんちゃって。あんたみたいな狂犬なんかにやられるわけないでしょ。はぁ、帰りたい」
「うぐぅっ!こんっの野郎、馬鹿にしやがってぇっ!!」
引き込んだ反動で地上に這い上がろうとした高遠の頭を、しっかりギュムッと両足で踏みつけた。さらに周りの土も蹴って穴の中に入れ始め、埋めようとする。
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