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新選組
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しおりを挟む――某日、某時刻。新選組は局長の近藤勇を筆頭に、副長と隊長数名で構成された最強かつ最適の布陣で鷹の翼の屋敷へと乗り込む。
「御用改めである!お上からの命により、三上城城主三上白鴇の暗殺を謀った魅堂黒鷹及びその仲間の捕縛、鷹の翼の屋敷の取り壊しに参った!」
「やぁ近藤さん、待ちくたびれたよ。いきなり元気だねぇ。僕の予想通りの面子だけど……ちょっと、そっちの方が人数多くない?」
屋敷の門を開けてすぐ、広い庭で鷹の翼の頭領魅堂黒鷹率いる鷹の翼の面々が待ち構えていた。
浅葱色の羽織に身を包んだ新選組。局長の近藤勇。副長の土方歳三。一番隊隊長の沖田総司。二番隊隊長の永倉新八。三番隊隊長の斎藤一。四番隊隊長の松原忠司。十番隊隊長の原田左之助。監察方の長の山崎丞。計8名。
近藤の正面で苦笑している魅堂黒鷹。その隣の小紅。反対側に高遠。その隣に桜鬼。小紅の隣に雪、鳶、猫丸。計7名。
新選組側も鷹の翼側も、誰も武器に手をかけていない。不気味に静かで、それでいて近藤と黒鷹以外が――あの暴れ馬の高遠やからかい好きの沖田でさえ――口を閉ざして待っている。
皆この日を、この時を待っていた。そして、この時が来なければいいのにと願っていた。
「確実に勝つために来たのだ、そちらよりも人数が多いのは当たり前。むしろ多いのが1人だけにとどめておいたのだ、ここは感謝すべきではないか?」
「はっ!僕達も、ずいぶんと甘く見られたものだね」
「こうなることはわかっておったであろう。大人しく縛につけ、黒鷹ッ!!」
1歩踏み出した近藤が黒鷹を見下ろす。鷹の翼はこの町に必要な組織だ。彼らはこの町に必要な人達だ。それがよくわかっているからこそ、悔しい。
ここで終わってしまうのかと。
「………………やだね。お前達、派手に、全力で、思いっきり、やれぇぇぇッ!!」
「抵抗するならばやむなし。お前達、かかれ!誰1人逃がすでないぞぉぉぉッ!!」
黒鷹はニヤリと笑い、抜刀、頭領の命に合わせて小紅達も一斉に武器を手に構え、猫丸の猫達が出現。
溜め息交じりに低く呟く近藤がゆっくり刀を抜くと、号令と同時に土方達も抜刀。ついに始まった。最期の戦い。
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