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零落
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しおりを挟む「何言ってるんすか、松原さんまだ30でしょ?その歳でジジ臭いこと言うんじゃねぇっす」
「いやいや、年々思うように体が動かなくなっていくんだよ。山崎君くらい素早いと目で追うのがやっとだ」
「ふんっ、俺様は素早さでは勝っても力では松原さんに負けるっすよ。一撃一撃が尋常ねぇ破壊力っす。鷹の翼の雪といい勝負なんじゃねぇっすか?」
「あぁ、雪はおなごなのに恐ろしい、人間とは思えぬほどの力を宿しておるよの。あれの相手をできるのは私か永倉君くらいだろうな」
「なら、俺様の相手は鳶だ。何が天才忍者だ。今度こそ、絶対に俺様が勝つ。表情一つ変えねぇ、クソ生意気なあいつを組み敷いて死の恐怖に怯えさせてやるんだ」
「…………とても、正義の側のセリフではないな」
忍の山崎は身軽さと素早さが売り。常人であれば目で追えないほどの素早さなのだが、松原のように目で追うことはできても見切って対応できるのはほんのわずか。
新選組では斎藤と沖田、それから近藤。鷹の翼では1番の素早さを誇る鳶と、忍すぎる小紅と黒鷹と猫丸。
山崎よりも強いとされる永倉や土方は彼の動きを先読み、さらに永倉は強い力が、土方は磨き抜かれた技があるので勝っている。
彼が言うように、素早い分だけ攻撃の力は強くはない。諜報を専門としているのであまり戦うことがなく、強さよりも素早さを磨いてきたからだ。
それでも同じ忍の出身なのに鳶が強いのは。鷹の翼に入ってから仲間達の影響を受けさらに、今でも成長しているからだろう。心も体も、ずいぶんと変わった。
それが山崎は気に食わない。平たく言えば、自分こそが天才忍者だと思っているためだ。
鳶自身が“天才忍者”だと豪語しているわけではないが、周りからそう言われているということはそれほどの実力が確かにあると認められているということ。
突然どこででも眠ってしまうという欠点さえかすんでしまうほどの、忍。
「山崎君がそこまで鳶を好敵手としているのはそれほど、鳶を強者だと認めている証拠だ。目標があるのは良いことだな」
「なっ!?……まぁ、確かにそうかもな。今まで1度も勝ったことがねぇし、クソッ!負けた時のこと思い出した……」
口と態度は高遠並みに悪いが、山崎は山崎なりに鳶を認めている。認めている自分にすら腹を立てているが。
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