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零落
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しおりを挟む桜鬼と原田と永倉が酒を酌み交わしていた頃。新選組の屯所内にある道場では松原、斎藤、沖田、山崎の4人が呼吸荒く何度も汗をぬぐっていた。
というのも、ついさっきまでこの4人で手合わせをしていた。最初は沖田が暇潰しにと斎藤を誘っていたのだが。
何しろ日の光を嫌うほどの引きこもりで無気力の斎藤だ。いつものように布団にくるまっていてミノムシ状態。沖田にグイグイ引っ張られても、布団の上からドスドス蹴られても顔を出さない。
仕方ないからミノムシ状態のまま道場まで引きずり回してやろうと、そんな酷いことを考えていた時だった。
あの手この手と、だんだん楽しみ始めていた沖田を通りがかった松原が見つけ話を聞く。するとミノムシ状態の斎藤を布団ごと軽々と担ぎ上げて道場へ。
もちろん、ミノムシ斎藤は布団の中で激しく暴れて「離せ!」だの「戻せ!」だの「嫌だ!」など叫びまくっていたが。
健康的にと斎藤を強制参加させた松原も、やる気になったようで薙刀を手に取る。
そこで道具の点検に来ていた山崎を見つけ、人数合わせだと強制参加。やる気に満ちた沖田と松原、嫌だ嫌だと全力で逃げようとする斎藤とやる気のない山崎。
結果。沖田と斎藤、松原と山崎が手合わせをすることに。
最初は沖田が一方的にミノムシ斎藤を蹴り転がしたり竹刀でツンツンしたり容赦なくぶっ叩いたりしていたが。途中で我慢の限界を迎えた斎藤がキレて抜刀、まさかの真剣で応戦。
それでも怯まない、むしろ興奮してしまうのが沖田総司。キレて手の付けられなくなった斎藤と、弾けんばかりの超笑顔で戦う。
斎藤は本気を出すとかなりの腕前なのだ。早く部屋に戻って寝たい。その純粋な思いだけで沖田を圧倒し、全力を出し過ぎて今、バテて倒れている。
床に伸びて、ゼェハァゼェハァと大量の汗を流しながら布団を手繰り寄せまたミノムシになろうとしていた。
そして松原と山崎はというと。まず、沖田や斎藤とは武器が違う。松原は薙刀だし、山崎は忍なのでいつも戦闘では愛用の小太刀を主に使っている。
なのでそれぞれ、竹刀ではなく本物の武器を手に戦った。つまり、律儀に竹刀を使ったのは意外にも沖田だけだったというわけだな。
「はぁー……山崎君はすばしっこいね。私もあと10歳若ければそれくらい動けていただろうが、いやはや、歳はとりたくないものだ」
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