鷹の翼

那月

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約束

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「名もなき刀。上手く扱えるのですか?」

「いや、これから馴染ませていくよ。クスクスッ……きっと、和のように反抗して扱いにくいんだろうけどね。でも、和の刀ならすぐに僕の力になってくれるよ」

 黒鷹は元々二刀流。これからは夜鷹の刀と和鷹の刀を使うのだろう。刀はサムライの魂。夜鷹の刀には夜鷹の魂が、和鷹の刀には和鷹の魂が宿っている。

 この時の小紅はまだ、まったく気づかなかった。不幸があっても前向きに進むと誓って、幸せいっぱいだったから。

 彼が髪を切って決意したのは“生きる”ことだけではなく、他に大きな決意をしたのだと。

 だから黒鷹は小紅に髪を切りそろえてもらっている間、和鷹の墓を見つめていた。笑顔を消して真剣な顔で、小さく小さく「ごめんね」と。

 幸せな時間なんて、すぐに消えてなくなってしまうものなのだ。


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