鷹の翼

那月

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想い

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 黒鷹と小紅が一緒の布団で寝ている。しかも隣には和鷹がいるというのに。必死に抵抗した小紅は着物がはだけて肩が見えてしまっているので高遠は顔を真っ赤にして、桜鬼は顔が青くなっている。

「こ、こ、小紅ちゃん……そんな、俺を振ったのって……黒さん……」

 そうか。桜鬼は小紅に思いを寄せていたんだった。打ち明けてばっさり振られてはいたものの、諦めると言ってはいたがさすがにこれは衝撃的過ぎたな。

「ち、ちちちちちちちち違うんです!ここここ、こ、これは、黒鷹様が私をからかって――」

「紅ちゃんは僕のことが好きだって言ってくれたのに、そんなに否定するんだ?寂しいなぁ」

「黒鷹様っ!?桜鬼さん、誤解ですからそんな軽蔑するような目で見ないでくださいっ!」

「何の騒ぎだ?ん?………………赤飯を、用意……」

「鳶さぁぁぁぁぁんっ!!?」

 もはや断末魔の叫び。頭を抱える桜鬼と真っ赤な顔で口をパクパクさせている高遠の後ろから、今度は鳶が顔を覗かせた。

 さすがというべきか、一瞬はピシッと時を止めたものの、鳶は取り乱すことなく無表情で呟くとそのままその場を去っていった。

 小紅、大混乱。黒鷹、大爆笑。

 結局、黒鷹が小紅を解放して起き誤解を解くまでに半刻かかった。不思議なことに、和鷹の遺体から殺気とイライラがにじみ出ていたような気がした。

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