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おとうととおとうと
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しおりを挟む爆発する。黒鷹が動く前に、鳶が口を開いた。曲者の監視を始めた時からのことを嘘偽りなく、ポツリポツリと説明する。
土方もその後ろに控えている隊士達も大人しく聞いているし、黒鷹も殺意がやや収まって静かに聞き耳を立てている。
鳶が話していることが真実だと証明するものは何もないし、そんな人もここにはいない。仲間でさえ、信じられない事実。
「……先に言っておくが、その男にはてめぇらの監視なんざぁ命じてねぇ。他にいたって言う5人の忍についてもわからねぇし、たぶんうちのじゃあねぇ。だが、和鷹が新選組隊士を殺したことに変わりはねぇ」
「おい待てよ!弟は殺そうと思って殺したんじゃねぇ、殺させられたんだって言っただろうが!見ろ、弟は刀を抜いてねぇ――」
「だが、殺した。新選組が鷹の翼を召し取る理由には十分だ。そうだろう、黒鷹?」
鳶の話が終わり、眉間に深い深いシワを寄せて考え込んでいた土方は隊士達に合図する。すると隊士達がグルッと、鷹の翼全員を取り囲んだ。
これにはさすがに雪と高遠が抜いた刀を、桜鬼は鉤爪を両手にはめて、猫丸は長い爪の暗器をつけて、身構える。
どんな理由であれ、人殺しは極刑だ。新選組は鷹の翼を捕らえ、終わらせる。一切の情けはかけない、それが鬼の副長と呼ばれる土方歳三なのだから。
「黙って聞いていれば好き勝手言ってくれる。あんたの目は節穴か?死んだのはこの男だけじゃない…………僕の大事な弟、和鷹だって殺された。新選組は私闘を禁じているんだろう?なら、そっちにも非があるってことぐらいあんたならわかるだろう?」
さっきとは比べ物にならないほどの濃い殺気が、闇が黒鷹の体から漏れ出ている。きっと黒鷹自身、自分の状態をわかっていて爆発しないよう堪えている。
やっと黒鷹と和鷹の距離が縮まった。さぁこれからだって時に。湧き上がる怒りが、憎しみが、黒鷹を闇で包み込み声を低くさせる。
爆発してしまえば何が起こるかわからない。湧き上がる、行く当てのない怒りに我を忘れて暴れ回り、仲間をも傷つけてしまうかもしれないから。
だからずっと顔を上げない。何も見ないようにして、感情を押し留めるのに専念している。冷たくなり始めた弟の身体を抱きしめて。
土方に向けられた言葉には、声にはしっかり怒りがこもっていてあまりに重い威圧に他の隊士達は震えあがった。耐えられるのは山崎と土方のみ。
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