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最強を求めて
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しおりを挟む気を失った姉の体を抱き留め、ちょうどよく登場した雪が妹を気絶させるのを確認すると。小紅の方を向く。
「わ、悪かったな、嫌なもん見せちまって。雪、2人を家の前に頼む。それとこれも」
「女や思うて油断してしもうて、すまん。ん?あぁ、わかった。ほな行ってくる!」
きっと終わるのを扉の外で待っていた雪に姉と妹と、それから小銭が入ったきんちゃくを預ける。高遠は眠る妹に手を伸ばしかけ、やめた。
雪は巾着を姉の懐に突っ込んで2人を抱えると開けっ放しの扉から出て行った。高遠の家を知っているのか。
触れかけて引っ込めた手を見つめる高遠に、寂しそうな目をした高遠にかける言葉が見つからない。
本当は会いたい。だって、自分を産んでくれた母親だから。今生の別れだとわかっていても、会いに行かないと彼は決断した。
せっかく危険を冒してまでして会いに来てくれた姉と妹を傷つけてでも遠ざけた。ずっと会ってなかったのだろう。妹は高遠を見つけると大変嬉しそうに駆け寄ろうとして姉に止められていた。
きっと、抱き着いたりしたかったのだと思う。でも高遠にきつく睨まれ、恐怖が勝ってしまった。
「そんなに後悔するのなら行けばよかったじゃないですか。って言うのは簡単ですが、それができない深い事情があるのでしょう?」
「あぁ?まぁ、な。俺様は6人きょうだいでよ。姉、俺様、さっきの妹が1番下で間に3人の妹がいやがるんだ。下2人が共喰いしそうになるくれぇ貧乏だったぜ」
「共喰い!?あの子が……人間が、そんな……」
「人間でも、生きるために本能で動いたんだろうよ。現実だ。両親の収入では生きていけねぇから、姉貴は小さい頃に遊郭に入って稼いだ金を全部こっちに回した。けど、見た目は良くてもあの性格だろ?売れなくてな」
高遠の姉は高遠より背が高く、細身で顔も小さく綺麗。しかし可愛いというよりは格好いい。
姉の収入は思ったよりも伸びず適齢期を終え、しかし幸運にも1人の常連客に身請けしてもらい新しい家庭を築いているらしい。
身請けの際には大金が手に入るが、その前に高遠が家を出た。
「口減らしのため、ですか。それで定期的にお金を、家に入れているのですね」
「てめっ、誰に聞きやがった!くそっ、桜鬼かよ。今度会ったらブン殴ってやる。俺様は男だからよ、よく食うし…………稼ぎは、あ、あんまねぇけど……」
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