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最強を求めて
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しおりを挟む立ち上がって舌打ちを打つ高遠に怯えながらも「お、親不孝者っ」と叫ぶも、妹はギンッ!と容赦なく睨みつけられ足がすくんでしまう。
そんな妹を庇うように1歩前に出た姉は、彼に負けず劣らずの鬼のような形相で睨み付け、舌打ち。
「高遠。世の中には、思っていても口に出していいことと悪いことがあるだろう。私達がどんな思いでここまで来たのか、わからないお前ではあるまい。お前と母様や父様との間で何があったのかは、どんなに問いただしても口を開いてくれないからわからない。けど、腹を痛めて産んで育ててくれた親を家族じゃないなんて言うのは私は、許さない。足の骨を折ってでも連れて帰る。覚悟しろ高遠ッ!!」
喧嘩上等なのは姉も同じか!?鋭い眼光に切れ味が増した姉が腰を落とし、グッと拳を固めると地を蹴った。
高遠の顔面を陥没させようとした拳は寸前で避けられ壁にめり込み、細かなヒビが走った。素手だぞ?女だぞ?え、女、だよな?
寸前で避けた高遠は一瞬は刀に手を伸ばすが首を横に振り、さらに襲いかかってきた回し蹴りと拳の連撃を避ける。
「しつけぇなぁ、戻らねぇって言ってんだろうが!!もうじき他の仲間が来る。そしたらてめぇらはあの牢にぶち込んで、ババアの死に際に立ち会えなくなるぜ!?」
「それまでにお前を連れて帰ればいいだけだ!鷹の翼が何だ!こんなところが怖くて――っ、やったなぁッ!!」
姉の攻撃を全て見切っている。それに、隙をついて繰り出した拳もあえて耳をかすめるように手加減していた。
高遠が本気を出せば気絶させ、屋敷の外に放り出すこともできる。だが彼は、諦めて帰るのを待っている。
それに気づいたのだろう。反撃で繰り出した拳がいら立ちのせいで大きく外れ体勢を崩し、背中に高遠の蹴りを食らう。
地面に叩きつけられ息が詰まり咳き込む姉が慌てて起き上がろうとすると、その背中をダンッ!と高遠が踏みつけた。
「姉貴、弱くなっちまったな。もう俺様には勝てねぇよ。頼むから、あいつを連れて帰ってくれ。てめぇらの家族、家はあそこで、俺様のはここなんだからよ」
「ふ、ふざけるな、お前が強くなりすぎているんだ。お前の頼みなんて聞かない、私は連れて帰ると約束したんだ。絶対に諦めな――っ!!」
「ね、姉様!姉様ぁっ!きゃ――!」
敗北してもなお、姉の炎は消えなかった。だから高遠はとどめを刺した。小さく「ごめん」と呟いて、無理矢理起き上がった姉の腹に拳を叩き込んだ。
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