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最強を求めて
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しおりを挟む勝負を挑んで勝てば鼻高々、超ご機嫌に町で手当たり次第に喧嘩を吹っ掛ける。まるで自分の力を見せつけるように、喧嘩して派手に騒いでは最終的に勝てない相手にぶつかってボコボコにされるか新選組に叩かれる。
勝負を挑んで負ければ腹いせに町で暴れて、やっぱり手当たり次第に喧嘩を吹っ掛ける。以下同文。
鷹の翼に入る前から高遠は「暴れ馬の高遠」で有名だった。殺しや盗みはしないが、たまに新選組の監視がつくほどに超迷惑な人物。
起きている時間のほとんどを喧嘩が占めるような喧嘩好きというか何というのか。要するに、喧嘩バカ。
そして、彼が言うように町での喧嘩にも飽きて夜鷹に勝負を挑んだある日。鷹の翼の屋敷の門を蹴り飛ばし、まず、駆けつけた和鷹に負けた。
次に、和鷹に組み敷かれているところにやってきた夜鷹にくっついていた黒鷹に飛びかかるも完敗。
指やあばらの骨くらいは折れていたかもしれない。全身に怪我を負って歩くのもままならない高遠は、それでもなお夜鷹に勝負を挑んだ。
その諦めの悪さと根性を面白いと思った夜鷹は、一切の手加減もなく一瞬でカタをつけた。
手を抜いて長引かせば怪我が増えて高遠を苦しめることになると、同情したのかもしれない。それはもう目で捕えることのできないほどの素早さ。
一瞬で姿が消えたかと思えば刀を構えた高遠の後ろで、いつの間にか抜いていた刀を鞘に納める夜鷹。目にも留まらぬ速さで一撃を食らった高遠はそこで完全に伸びて気絶。
屋敷の物置部屋――今の小紅の部屋――に放り込まれていた高遠は目を覚ますと、性懲りもなく朝っぱらから再び夜鷹を襲撃。
まぁ、どうなったのかは言うまでもない。それを何日も繰り返し、夜鷹は気づいた。
最初にやってきた日よりも夜鷹の動きを目で追うことができているし、夜鷹からの攻撃も受け止めかけている。確実に強くなっていると。
伊達に毎日、バカみたいに喧嘩なんかしていない。高遠はこれでも喧嘩でしっかり成長しているのだ。まだまだ強くなる。
和鷹が、黒鷹が、夜鷹が手加減なしで相手をすれば、いずれは順番に負かされるほどに強くなる。
夜鷹の直感がそう言った。高遠の成長には果てがないと。彼が強さを求める限り、精神が壊れない限り、彼は肉体の限界を超えてでも成長し続けるのだと。
震えた。そして決心した。高遠を、鷹の翼に引き入れようと。
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