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最強を求めて
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しおりを挟む「あぁ?んなの、頭領を守るに決まってんだろうが。まぁ、悔しいけどな……今の俺様はそこまで強くねぇ。力では雪に負けるし、早さでは鳶や猫丸に負けちまう」
自覚はあるのか。高遠の我流の剣技ではがむしゃらに刀を振るっているようにしか見えないし、攻撃は最大の防御とでもいうように守りを捨てた戦い方だ。
速さは劣るが全てをその並外れた強大な力で補ってしまう雪にも、力は劣るが忍として磨かれた速さを武器とする鳶にも、高遠はあまり勝ったことがない。
根は真面目な高遠。努力を惜しまない彼は暇さえあれば鍛錬に勤しんでいる。必死に、時には寝る間も食事の時間も惜しんで。
その甲斐あって最近は鳶から勝ちを奪うことが増えてきたようだが。それでもまだ足りないという。
最強になる。男としての夢やあこがれだと思っていたが、意外にも黒鷹を守るためとは。組織の頭を守る盾となり剣にもなるというわけか。
それにしても意外だ。彼は和鷹とのことで皆をだまし続けてきたのだと告白して間もないというのに、そんな彼でも命がけで守るというのか。
皆を鷹の翼に引き入れ家族も同然に育ててきた夜鷹に恩を感じるならまだしも、同じ頭領とはいえ黒鷹にそこまでの恩を感じているのか?
小紅もそんなことを考えているのか「失礼ですが黒鷹様は、あなたよりもお強いですよ?」と、本当に失礼なことをサラッと言ってのけた。
確かにそうなのだが、どちらかといえば黒鷹が頭領として部下である高遠を守るという感じなのだが。そんなことを言ってしまえばキレてまたギャンギャン吠えるぞ。
「い、今はな!けど、早く強くならなきゃなんねーんだよ。早く、俺様1人でも頭領を守りきれるくらいに強くならねぇと」
「新選組は鷹の翼を潰しにかかるような計画をまだ立てていなかったはずですが。なぜそんなに焦っているのですか?」
「そりゃあてめぇ、頭領はっ――あぁ…………いや、なんでもねぇ。とにかく、俺様は強くなるんだ。バカな頭領を守るためになぁっ!」
冷めたような大人しい小紅の態度が気に食わなかったのか、熱くなってきた高遠が、一瞬で鎮火した。
何か言いかけたところで我に返って口をつぐむと、溜め息を吐いて背を向ける。イラついていて、最後の部分は高遠自身と黒鷹に向けられているように小紅は感じた。
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