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最強を求めて
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しおりを挟む「………………チッ。あぁ、そういうことかよ。くっそウゼェ」
寸の間の沈黙ののち、高遠は罰が悪そうに舌打ちをすると「新選組で1番強ぇやつって、今は誰だ?」と聞いた。
黒鷹が小紅を生かし続けている理由がわかったのだろうか?急に話を変えてきた高遠に小紅は、しかし慌てることもなく素直に答える。
「近藤局長。そして沖田総司、永倉新八、斎藤一ですかね。斎藤さんは性格はあれでもかなりの手練れですから、甘く見ていると返り討ちにあいます」
「狗3匹には興味ねぇよ。1番が近藤だってわかればそれでいい、今度見つけたら潰すだけだ」
鮮やかな赤い瞳は燃えている。怒りや憎しみの炎ではなく、純粋に“倒す”という強い想い。
新選組の頂点に君臨する局長の近藤勇に1人で勝負を挑むか。はたから見ればただの死にたがりか、気が狂ってしまった哀れな人。
だが、小紅が見つめるこの男は違う。武士道を掲げ、強さを求め、家系や世の中やお上のため、憧れのため、近藤と向き合ってきた者達とは全く違う。
本気で、己の中にある強い想いのために近藤に勝負を挑もうとしている。高遠のことだ、正々堂々と正面からいくのだろう。
「あなたのように打倒近藤局長だと言って挑んできた男達を幾人も見たことがあります。しかし、その誰もが触れることもかなわずことごとく打ち負かされてしまいました。圧倒的です。もしも負ければ、捕まりますよ」
近藤勇は強い。沖田、永倉、斎藤よりも格段に強い。普段は大人の貫禄がある優しい男だが、刀を持てばたとえそれが木刀や竹刀でもサムライになる。
容赦なく、手加減なんて一切せず叩き潰す。2度と立ち上がれなくなるほど痛めつけたこともあるが、それは相手が若造でバカだったからだ。
血気盛んな高遠は近藤達新選組が敵対する組織、鷹の翼の一員だ。命令がなければ命を奪うまではしないだろうが、徹底的に追い詰めて、手足の骨を折るくらいはする。
そして捕らえ、屯所の奥にある暗く冷たい牢に蹴り入れるのだ。2度と、日の光を浴びることはできなくなる。
高遠が動けなくなるようにするためならば手段を選ばない。それが、サムライ近藤勇という男。恐れられる男。
「捕まるのが怖くて勝負なんて挑めるかよ。死ぬ覚悟で行くんだ。俺様は強くなる。今よりももっと技を磨いて、もっと体力つけて、もっと強くなって、そんで最強になるんだ」
「最強になってどうするのですか?」
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