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真実の嘘
6P
しおりを挟むやはり弱っているらしい黒鷹の下から脱出した小紅は走り出し庭に降りる。が、こっちはすかさず桜鬼と高遠が立ちふさがった。
いたのか!よくここまで静かにしていたものだ、高遠。しかしまぁ、ずっと静かにしていたのが相当精神的にキたのだろう。ものすごい形相で小紅を睨みつけている。
それでも、小紅は怯まず地面を蹴った。懐から取り出した短刀をヒュンッ!と素早く振り上げる。
一気に高遠との間合いを詰め、しかし彼の鼻先を掠った短刀は前髪をひと房斬っただけに過ぎない。
本能的に仰け反って短刀の切っ先を避けた高遠を、今度は間髪入れずに繰り出される小紅の素早い蹴りが襲う。
血気盛んな高遠に1歩も踏み出させない。攻撃の隙なんて与えず、連続攻撃を繰り出しながら少しずつ塀へと追いつめていく。
焦りといら立ちが入り混じった高遠は、だが1人ではない。背後に回り込んだ桜鬼の存在も、小紅は忘れていなかった。
背後で桜鬼が鉤爪を振り下ろすのを背中で感じ取った小紅が寸前にサッと横に跳び避けたので、塀に追いやられていた高遠はいきなり視界に飛び込んできた鉤爪に素晴らしい反射神経で反応。
眼前に迫ってきていた鉤爪は高遠の顔のギリギリ真横の塀に爪痕を残し、高遠の刀にガチャンッ!と叩かれた。
「あっぶねぇだろうがっ!!この俺様を殺す気かっ!」
「ごめんごめん、小紅ちゃんを甘く見ていたよ。相当な手練れだ、油断していたらこっちがやられる」
ずっと隠していた本当の小紅。ちゃんと戦えるし、強い。護身用の短刀を両手に握ってガタガタ震える小紅はもういない。
そこにいるのは、新選組のハナ。右手でしっかり短刀を握り締め、赤黒い瞳はどんなに素早い動きも確実にとらえ追いかける。低姿勢で駆ければその音は無音。
繰り出される斬撃は的確でわずかにもブレがなく、迷いがない。洗練された身のこなし、技。この姿こそが本当の、小紅なのだ。
鳶のような忍の動きにも似た小紅をピタリと止めた者がいた。一瞬の隙をついて塀に飛び乗り逃げようとした彼女の左手首に、鎖が巻き付いていた。
目には目を歯には歯を、忍のような小紅には天才忍者を。小紅の手首に巻き付いた鎖を握る鳶は、一気に引っ張った。
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