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きょうだい
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しおりを挟む雪と黒鷹が鷹の翼の屋敷に着くと、他の5人は先に戻って待機していた。
作戦通り派手に暴れたらしい高遠と桜樹は体のあちこちに怪我を作っていたがすでに手当てを受けていて。重傷を負っている黒鷹と和鷹はすぐさま、話をする間もなく手厚く保護された。
どうやら高遠と桜樹の方にも予想外のクマ……じゃなかった、隊長が2人。松原と永倉という、力が物を言う2人が出没。
本当は永倉ではなく原田が来るはずだったのだが、士気を上げようと屋根裏に隠し持っていた酒を1瓶丸々空けてしまって。動けてもイモムシ以下。
代わりに永倉が駆り出された。つまり、鷹の翼が仕事に来ることはあらかじめわかっていたと。松原は、ついうっかり口を滑らせた。
それが本当にうっかりなのかわざとなのか。という話を桜鬼がしていて。隣で、高遠がグダグダギャアギャアぼやき騒いでいた頃。
その場に小紅の姿がないので一緒にいたはずの猫丸に聞くと、彼女は緊張からの解放と心身ともの疲れで屋敷に着いた途端に倒れ部屋で眠っているんだとか。
新選組の屯所に忍び込んで気づかれて戦闘になるなんてよくあること。だが今回は少し様子が違った。
新選組が、というよりも局長の近藤がいつにも増して攻撃的だった。和鷹のこともあって、黒鷹の落ち込みが他の者にも伝わり口を閉ざす。
久々に全力で暴れ回って絶好調だった高遠以外。彼だけはまだ熱が冷めないのか、いつものようにうるさく「あーもうジメジメ辛気臭ぇんだよ!」と吠えた。
「悪戯もしたし金も奪ったんだ。怪我はしたけどよ、全然、いつも通りじゃねぇか!頭領がそこまでへこむなんてなぁ、有り得なさ過ぎて雪が降るぜ!何かあったのかよ!?」
あぁもう、全くもって空気が読めないやつだ。桜樹は空気が読める桜鬼に戻って、パシッと高遠の口を塞いだ。
皆、黒鷹の尋常でない様子にそれなりに何か良くないことがあったのだと、悟って口をつぐんでいたのに。
「いや、いいよ桜鬼。実は逃げる前にひと悶着あってね。僕が和の本当の兄じゃないって、バラされちゃったんだ――」
雪に包帯を巻いてもらいながら、黒鷹は近藤によって真実が明かされたこと、そして和鷹の過去を皆に打ち明けた。
疲れたように笑みを浮かべる口元は、わずかに震えていた。
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