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きょうだい
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しおりを挟む一気に狂暴になった土方の攻撃に、殺気に鳶は雪と共に大きく跳び下がる。しかし和鷹はこれを好機と読んで踏み出す。
攻撃の流れを読み、素早くシュンッと刀を突き出せばほんのわずかに遅れ、土方の右肩を斬りつけることしかできない。
立場も性格も、似た者同士。キレ具合は高遠にも匹敵するほどだが、これでも土方は武士。瞬時に振り返りながら刀を振り上げ、和鷹の脇腹を斬りつけた。
「下がれ和!お前達は先に、丸は紅ちゃんを連れて撤退しろ、命令だっ!!」
鷹の翼の頭領の叫び声。鳶は離れた場所にいる高遠と桜樹に伝令に姿を消し、雪は負傷した和鷹に手を貸そうと駆け、猫丸は小紅の手を取って走り出す。
殺す気はなくても、帰す気はない新選組。今回も新選組に軍配が上がった。早く逃げなければ、鷹の翼はまだ終わるわけにはいかない。
黒鷹は頭領だから。家族も同然の仲間の命を守る義務がある。
黒鷹は頭領だから。家族も同然の仲間は彼の命を守りたいと願う。病気とは違って、守れる命だから。
心の中ではこの場に残って先に黒鷹を逃がしたいと思っている。でも、彼らは黒鷹を心から信頼しているから。だから背を預けて駆け出すんだ。
和鷹以外は。
兄弟だから。兄である黒鷹を嫌ってはいても共に戦うことを選ぶ。たとえ黒鷹から「何をしている、早く逃げろ!」と怒号が飛んできても、刀を構え直し怒れる暴君と化している土方と対峙する。
黒鷹と同じ夜空色の瞳は真剣だ。その瞳に強い想いを見た雪は諦めて撤退しようとした瞬間、大量の血しぶきをまき散らしながら和鷹が吹っ飛んだのを見た。
「逃がすか、くそがぁぁぁッ!!」
もはや怒りの化身か。目にも留まらぬ速さで袈裟懸けに斬りつけた和鷹を、力任せに蹴り飛ばしたのだ。
しかもその蹴り飛ばした先には静かな攻防戦を繰り広げている黒鷹と近藤がいた。これにはさすがに近藤も驚いて黒鷹の刀から手を離し飛び退く。
さらに追い打ちをかけようとした土方に怪力自慢の雪が飛びかかり、何とか食い止めてくれるが和鷹は重症。
「あ、兄上……先に逃げ、ろ……」
脇腹と胸から血を流す和鷹はヨロヨロと立ち上がり、黒鷹の肩をつかんで引き下がらせる。
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