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きょうだい
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しおりを挟む雪、自分で作った落とし穴から出られないなんて。どんだけ深い穴を掘ったんだ。穴から手の先しか見えないぞ。
「斎藤!そっちはほっといてこっちに手を貸せ!おい、聞いてるのか!?」
「…………嫌です。はぁ。人増えたし……帰ります」
「帰るなぁっ!!斎藤!くっ……斎藤てめぇ、あとでミッチリ根性叩き直してやるからな、覚悟してやがれぇッ!!」
激しい攻防戦を繰り広げながら黒鷹と近藤、和鷹と土方は立ち去る斎藤の背中を見た。
新選組三番隊隊長、斎藤一。17歳にして剣の達人。新選組最強の3人、永倉、沖田に並ぶほどの実力者で、これからのさらなる成長に期待されている。
しかし性格に大きな問題あり。一言で言うと、極度の根暗。
人見知りが激しく、沖田のように無駄に明るい人やギャーギャー騒ぐ高遠、永倉のような熱血漢が大の苦手。そしていつもやる気がない。
これでも新選組の隊長なので仕事はとっても嫌々やっているが。見回りの時など隙あらば脱走していつの間にか自室に戻ってきていたりして、部下の隊士達を困らせている。
ジメジメとキノコが生えてきそうな斎藤だが、他の隊士達よりはやや渋るものの土方の言葉だけはゆいいつ、聞く。
土方を尊敬しているとかなんだとか。それでもこの態度だ。最初は土方と和鷹と雪と自分の4人だったのに、近藤と黒鷹と小紅が増えて嫌になったらしい。
もう絶対に戻っては来ないだろう。小さく「眠い」とか溜め息に混ぜて呟いていたし、自室で布団に潜り込んで熟睡か?この状況で、よく寝られる。
残された土方の怒りは爆発寸前。ある意味、鷹の翼よりも個性的な隊長ばかりだ。束ねる土方は毎日胃痛に悩まされているんだとか。あぁほら、今も片手で刀を振り回しながら胃のあたりを押さえている。
「待って紅ちゃん。雪は大丈夫だから、絶対に僕の背中から離れないで。こんなの、いつものことだよ」
落とし穴の中でピョンピョン跳んで必死にもがいている雪を助け出そうとした小紅を、黒鷹の力強い言葉が止めた。
和鷹と土方の力量はほぼ互角。だがこちら、黒鷹と近藤では黒鷹が押し負けている。他の隊士が駆け付ければ真っ先に身動きが取れない雪が狙われてしまうだろう。
それでもなぜ大丈夫だとはっきり言えるのか、この時の小紅にはわからなかった。
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ちなみに、作品の表紙は、AIで生成しております。
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