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そばとうどんと油揚げ
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しおりを挟む「キツネそば、素うどん、キツネうどんで刻み揚げだな。待ってろ、すぐに出してやるからな!」
結果、和鷹と黒鷹の間のような感じになってしまった。油揚げを刻んでほしいと言ったのは隣の席の客が食べている油揚げを見てしまったから。
器からはみ出ているほどの大きさなのだ。この特大油揚げにかぶりつけば、たっぷり染み込んだ濃いめの煮汁がジュワーッと滝のようにこぼれる。それを避けたかった。
まぁ、それでも油揚げの量は変わらないので。しばらくして運ばれてきたキツネうどんの器には、小紅には少し大きめの一口大に切り分けられた油揚げの山。
見た目的にはもはや別の食べ物に見える。が、黒鷹も和鷹も油揚げを刻んだだけだというのに興味津々で。
「いいなぁ、僕にも2きれくらい分けてよ」
「む、俺もたまには切ってもらおうか。食べやすく美味そうだ」
と、黒鷹は油揚げを4きれさらっていった。2きれだと言っていたのに。初の試みは店主も気になるようで、他の客の注文を放置して勝手場から覗いていた。
ただ刻んだだけなのにうどんと油揚げを一緒に食べた黒鷹は目を丸くし、そして「すごく食べやすい。たまに乗せさせてもらうよ」と店主に笑いかけた。
それから自分の素うどんに箸をつけ、和鷹と小紅も食べ始める。
店主の一口大は小紅には少しだけ大きくて。油揚げを先に口に入れればうどんが1本も入らない。口の中がほとんど油揚げの煮汁でいっぱいだ。
実はうどんもそばも1度だけ作ったことのある小紅は、その味に大層驚いた。
そんなに高価な食材は使っていないのに、和鷹が言うように油揚げの煮汁は濃いめだが主張が強すぎない甘辛さ。
黒鷹が言うように、うどんの出汁は薄めでさっぱりしていて、けれど良い感じにあとに残る奥深さがある。
小紅は一目惚れ……いや、一口惚れした。素直に「明日のお昼に食べに来たい」と思った。「ふふっ」と、笑みがこぼれる。
「――んあー、飲んだ飲んだ、もーーーーー飲めねぇ!酒持ってこい!」
「飲めねぇのに持ってこいかよ。いや、持ってこなくていいぜ店主!おい左之助、そろそろ帰らねぇと土方さんの雷が落ちる。逆さ吊りにされて飲んだ酒、1的残らず全部吐き出させられるぜ」
が、ここは町の蕎麦屋。酒を飲みに来る輩も多いわけで、そこに身分も仕事も関係はない。
3人から少し離れた後ろの席に、体中を真っ赤にさせて酔い潰れた飲んだくれと、それに付き合わされている……クマがいた。
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