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奪還と強奪
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しおりを挟む「すすむー……うちのドブネズミが紛れ込んじゃってるだろー?駆除してやるからさぁ、捕獲して隠してる場所に案内してよー」
「沖田君、わざわざ間違った方に言い直さなくても。恥ずかしい話だが、昨晩うちの山崎君がキレて脱走してしまってね。飛び出しながら『黒鷹の首を取ってやる!』と吠えていたのでもしやここに来ていないかと……」
「どんっなしつけ方してんだよてめぇ!返り討ちにしてやったぜ、鳶がなっ!」
その場にいなかった、何もしてないお前が威張ってどうする、高遠よ。番犬の役割はしっかり果たしてギャンギャン吠えまくっている高遠の前には男が2人。
1人は桜鬼と町へ出かけていた時に出会った、新選組四番隊隊長の松原忠司。
今日は浅葱色の羽織は羽織っていない。しかし山崎を「脱走」だの「吠えて」だのと言えば、やんわり笑いながらとはいえしっかり犬扱い。
高遠が狂犬なら、山崎は忠犬の皮を被った駄犬といったところか。隣の若い男にいたってはもうドブネズミ呼ばわりだものな。
落ち着きがなく、口元に笑みを浮かべながら楽しそうに左右に体を揺らしている男は沖田総司。新選組一番隊隊長を務める、天然理心流の使い手。
剣の腕前では新選組で1番と言われる剣豪だ。性格は陽気で明るく、とても子供っぽくて悪戯好きで土方をからかってはよく怒らせて楽しんでいるとか。
性格だけ見ればどちらかといえば鷹の翼に向いている性格だが。以前、和鷹と本気の斬り合いになった時、和鷹に大けがを負わせて沖田はほぼ無傷だったとか。
飄々としているが、それが逆に侮れない。そしてそれは沖田に限らず、松原もまた叱り。
沖田もまた隊服を着ていない、ということは2人は非番か。局中法度で私闘を禁じられているので、山崎を引き取りに来たと見せかけての襲撃というわけではないだろう。
だが相手はあの新選組だ、用心するに越したことはない。高遠のように敵意むき出しでなくとも、雪のように軽く睨み付けるくらいで……
「チッ、沖田かいな」
おや、珍しく怖い顔をしている。明るい茶色の目は沖田を捕らえ、今まで見たこともないくらい嫌そうに顔をゆがめている。そう、それは心からの嫌悪。
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