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影
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しおりを挟む――すぐに眠ってしまっていた。目を覚ますと昼前で、やけに温かいと思えば黒鷹の布団の中でぐっすり熟睡していたらしい。
驚いて飛び起きると、隣にも部屋の中にも黒鷹の姿はない。代わりに障子が開いて、外で待機していたらしい雪が顔を覗かせた。
「おはよっ。よく寝とったみたいやな?頭領なら今和鷹さんと話しとるさかい、戻ってくるまでまだかかるみたいやったな」
「おはようございます。黒鷹様をお守りするはずだったのに、お恥ずかしい……」
「そんなん気にせんで。頭領はあれでも、俺っち達の中で1番……や、1番は夜鷹様やから2番目に強いお方やし。どっちかっちゅーと休みながら小紅ちゃんを守っとったようなもんやろうなぁ」
「え?私を、ですか。そんなの、小姓として失格です。仕える主人に守られるだなんて」
深く深く熟睡していたせいだろう。いつの間にか朝になって、黒鷹が小紅を起こさぬよう布団に寝かせて部屋を出たのにも気づかなかったのは。
しかしいくら雪をそばにつけていたとはいえ、まだまだ怪しい小紅を頭領の部屋で寝かせるとは。
大事な書物なんかも当然置いてある。もしも小紅が敵ならば、どうぞ盗んでいってくださいと言っているようなものだ。
黒鷹が彼女を信頼していることを示すためのことなのか。はたまた、そんな大それたことなどできない腰抜けだと思っているのか。
複雑な心境に自分のふがいなさが嫌だなとうつむく小紅の腹が「きゅるるるるる」と鳴いた。
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