鷹の翼

那月

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つながり

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「兄上のところに行け」

 自分は当番だから片付けてくるのだと言い残して、さっさと出て行ってしまった。やはり、声をかける間もない。

 呆然と立ち尽くすわけにもいかない。小紅は小さく「ありがとうございます」と彼に届かない、しかしはっきりと礼を言い、広間を出た。

 夜鷹の料理の腕を継いだ、鷹の翼で1番の腕を誇る和鷹が作った夕餉。あぁ、雪も当番だったか。

 きっと美味しかったのだろう。だが、小紅には全く味がわからなかった。ゆっくり味わう間もなかった。先に食べ終わった和鷹がずっと、怖い顔で睨みつけていたから。

 早く食べなければと必死になっていたため、冷えていても美味しいはずの料理でさえ無味無臭。

 明日の朝餉こそはゆっくり味わいたい。そう願いながら、小紅は黒鷹が待つ部屋へと向かった。自分に明日があるかどうかさえ、わからないのに。


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