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鷹の翼
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しおりを挟む自分のことを「俺っち」と言い、性格としゃべり口調はともかくあの怪力と容姿からして、100人中99人は男だと思うだろう。残りの1人は偏屈者。
それでも、鷹の翼の雪という人物は女性なのだ。その証拠に彼女は「そうやよー、ほら?」と、全く恥じることなく着物の上半分をバサッとはだけさせた。
たしかに、胸は女性のもの。胸板ではない。しかし、かなーり貧。サラシを巻いていなくても、胸だけ見れば性別の区別はつかない。
さらに「下も見る?」と裾をめくり上げようとしたので、そこは小紅が全力で「結構です!」と止めた。
なるほど。だから女性用の着物を持っていたのかと、今やっと納得。少々袖と裾が短い着物に着替えた小紅は、部屋を見渡して首を傾げた。
和鷹の部屋よりも広い。そして、もう1度言うが雪の性格の割に部屋が片付いている。
和鷹の部屋のように物がないというわけではないが、雪が好きなのか色や形の違う風車は筒にまとめて入れて飾られている。それに、刀か何かを手入れするような見たこともない道具が机に並べられている。
「何をキョロキョロしとんのや?ネズミでもおったんか?猫丸の猫のおかげでネズミは1匹もおらんはずやけど……」
「いえ。さきほどまで和鷹様のお部屋にいたのですが、こちらの方がいささか広いような気がして」
「そりゃあそうや。ここは2人部屋、俺っちと鳶の部屋やさかい。夫婦やし、同じ部屋の方がえぇやろうて祝言挙げた次の日に一緒にしたんや」
「ご夫婦だったのですか!お幸せそうで、いいですねっ」
「うん、まぁ、幸せやな。こんな俺っちでも好きや言うてくれるんやもん。あんな……くそくらえな世界から救い出してくれた夜鷹様には感謝しきれん」
身長差は頭2つ分の、デコボコ夫婦。おしゃべりな雪と無口な鳶。とても、夫婦だとは微塵も感じなかったとは言えなかった。
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