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いざ、鷹の巣へ
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しおりを挟む「弟の俺にも言わねぇのかよ。チッ。…………とにかく、いくら頭領の決定だとしても俺は認めないからな。俺だけじゃない。他の奴らもそうだ。こいつは、俺達とは違うんだ」
これ以上話すことは何もないと言いたげな目をして、一緒に居たくないのか立ち上がろうとしてつんのめった。
だから、黒鷹が袴の裾を踏んだままで身動きが取れないだろう?そもそも自分の部屋なので「出ていけ」と静かに低く唸った和鷹は顔を反らす。
「この子の一切は頭領として、魅堂黒鷹として僕が責任をもって預かる。お前達には口出しも手出しもさせないさ」
「………………勝手にしろ。どうなっても知らないからな」
「じゃあ、頑張って皆と仲良くならないとだね。そういえば屋敷の案内がまだだったね。行こうか、紅ちゃん」
「わ、私っ……皆さんがどうしてここにいるのか、なぜ先代様を慕っているのか知っています。皆さんは夜鷹様に救われたのですよね?私も同じなんです。だから――」
「知ったような口を利くなッ!!」
「和っ!紅ちゃんも、今は行くよ」
小紅が必死なのはよくわかる。が、急ぎ過ぎだ。和鷹の怒号、心からの叫びは空気をビリビリ振るわせ、小紅は心底震え上がった。
黒鷹が力づくで手を引いて部屋を出なければ今頃、腰の抜けた彼女は和鷹に押し倒され首を絞められていただろう。
和鷹は、全身から殺意を爆発させていた。彼は高遠のように喧嘩っ早いわけじゃない。むしろ我慢強い方。我慢しすぎて胃を壊す人だ。
それなのにあそこまで感情的に叫んだのは、小紅が彼の――彼らの心の中に身勝手に踏み込もうとしたから。
彼らと夜鷹との関係をなぜ知っているのか?それも謎だが、今はそれどころじゃない。小紅が怒らせたのは、もう1人。
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