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いざ、鷹の巣へ
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しおりを挟む「誰?地面に這いつくばって何してんの、地面って美味しい?そんなに殴ってさ、門を壊すんなら斬るよ?」
「いっててててて……壊れそうな門だったから蹴破ったら開くと思ったのに、いきなり開けられたからこけちゃったの!私、ここで働きます。何でもするので、どうか拾ってください!」
「うん?あー、ごめんね。うち、そういうのはやってないんだ。悪いけど他を当たってくれる?大丈夫、ちょっと貧相だけど君なら吉原に行けるよ」
「み、身売りじゃありませんからっ!?」
大層元気な少女がボロボロ屋敷の門を叩いた。それも、ここがどういう人の集まりなのかを知ったうえで。
「私、先代の頭領様に大変お世話になったんです。どうしてもお礼がしたくて。それに、困ってどうしようもなくなったらここを訪ねるようにって言われてて……」
年相応に膨らんだ発展途上の胸元から手紙を取り出し、出迎えた青年にスッと差し出す。
門を閉めかけた青年は苦笑し、手紙を受け取ると中身を確認する。どうせ偽物の手紙だろうと思っているに違いない。しかし、手紙を広げるなり表情が固まった。
確かに、彼が知る先代の頭領の直筆。内容も、彼女が言ったことに間違いがないことを裏付けている。本物。
3度読み返した青年は手紙を懐にしまうと、不安そうに見つめる彼女を観察。頭のてっぺんからつま先まで、しっかり3往復。
やがて「はぁ、やっかいなものを……」と小さく溜め息を吐き、いきなり彼女の手をつかみ門の奥へと誘う。
「あ、あ、あのっ……」
「おーい!皆手を止めて、こっちに集合してくれー!全員いる?あれ、あいつだけいないじゃん。しょうがないねぇ、あとにするか」
門から入ってすぐ、大量の木材を相手に奮闘している男達の元へと向かった青年は大きな声を上げた。
賑やかだった音がピタリと止み、この場にいる全員が顔を上げる。突然の来客に集まってきた5人は、ついに青年に嫁ができたのかと2人を交互に見やる。
「紹介するよ。今日からうちで住み込みで働くことになった……えーっと、誰?」
男達の期待なんて露知らず。青年はいつものように明るく、少女の肩を押して突き出す。突き出した格好のままジィーッと見つめて、首をかしげるとか拍子抜けだ。
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