鷹の翼

那月

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はじまりはじまり

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 正義か悪かよくわからない、謎だらけの彼らは町人には人気が高い。まぁ、義賊っぽいことをしているわけだし、だが野蛮さに嫌う者も少なくはない。

 後ろめたいことをしていて明日は我が身かとビクビク怯えている懐の温かい者達こそ、彼らがすぐに召し捕られることを望んでいる。

 が、焦って新選組の背中を押せば。逆に怪しいと、自分の首を絞めてしまう。そうこうしているうちに、彼らの仕事に入られるのだ。

 そして彼らは町人には優しい。人にはよるが積極的に人助けをする者が多いのは、彼らの生い立ちが複雑なためだろう。

 と、まぁ何かとわけの分からない連中に手を焼いている新選組だが。新選組としては排除すべき敵だと思っていても、個人としては彼らのことをそこまで嫌っていないのが現実。

 中には新選組としても個人としても大変嫌っている者もいるが、それはそれで良い。

 彼らの頭領は、嫌われれば嫌われるほどに燃える。今日も、どんなウザい悪戯をして困らせてやろうかとウキウキ体を揺らしていることだろう。

 昨日は深夜に奇襲があったため、他の者達は屋敷の修繕にあたっている。いつも派手に戦うので、奇襲のたびにあちこち壊れてしまう。

 本気の戦いはしない。いつも、まるでじゃれ合うように双方が手加減をする。今の関係を崩さないようにしているかのように。

 毎度のことで彼らも慣れたものだ。トンチンカントンチンカン、ドンドンガシャガシャ、ギコギコバッタンバッタン。

 大変賑やかでよろしい。そのうち、誰かの怒鳴り声が響くんだろう。力仕事にはつきものの喧嘩だな。

 折れた柱、抜けた床、破れた襖や障子、壊れた家具。今回はなかなか、新選組も頑張ってみたのか被害が大きい。ボロ屋敷がボロボロ屋敷だ。

 トンチンカントンチンカン、ガッシャンドンドンッ、ギコギコドンドンドンッ!

 それにしても音が大きい。と思ったら、なるほど。妙におかしいいつもと違った音は屋敷の入り口からだったか。

「すみませーん!誰かー、開けてくれませんかー!すみませーん!……もう、大きな音で聞こえないのかしら?仕方ないわね。たのもー!!うわぁっ!?」

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