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約束
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しおりを挟む「守るといっても、ずっと君のそばにいるというわけではないよ。君がずっと彼を待っていられるよう、支える。困ったことがあったら頼ってもらうというくらい。………………友だと勝手に言っておきながら、守れなかった。せめてもの罪滅ぼしをさせてほしい。最後の友を、今度こそ守りたい。君がまだ、私を友だと言ってくれるなら」
最後、朔の声は震えていた。震えてはいたがとても力強い、決意の表れ。
そうか。後悔し、苦しんでいたのは俺だけではなかったんだな。朔はまだ俺を信じてくれている。前に進まなければ、そう思った時だった。違和感に気が付いた。
「…………おい。あんた、どうして俺と酒呑童子が交わした約束を知っている?」
「私はこれでも結構才のある陰陽師だよ?まぁ、もう陰陽師らしいことはほとんどできないのだけれど」
「それはどういう意味――っ、あんた、それっ!?」
振り向くと、朔は予想通り俺の背後に立っていた。見えているだけでも両手に、首にも包帯を巻いている。
俺を成敗の対象から外す代わりに、折檻を受けた。それから、陰陽師として1番大事な両目を失った。もう視ることはできない。ただの人間だ。
目の所にも包帯を巻いている朔はそう言って、笑った。全然、笑い事じゃないだろう。「ここに辿り着くまで大変だったよ」とか、どうして笑えるのだ?
こいつは馬鹿だ、大馬鹿者だ。だが、やっとわかった。俺にとって酒呑童子が特別だったように、朔にとっても彼は特別な友だったのだと。
だからこそ無茶な約束を交わし、己の光を失ってでも、友が大事に守ってきた俺を守ると決めた。
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