惰眠童子と呼ばれた鬼

那月

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親友と金魚のフン

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 ――茨木童子もごくたまに釣りに参加するが、これがなかなかに上手い。酒呑童子に必ず勝ってしまう。そして、釣った魚を絶品料理にしてしまうのだから尊敬に値する。


 ある日、いつものように酒呑童子に釣りに誘われた。普段とは別の場所と言われ、連れてこられたのは大きな川。


 茨木童子も誘われたが、彼は「今日は山菜を取りに行ってくると言っていたでしょう?」とキッパリ断った。嫌な予感を感じたのかもしれない。


 そろそろ同じような池だと飽きただろうということらしいが、人間がいる。この川には人間もよく釣りに来るんだそうだ。


 なぜ選んだ?俺はもう、これから先ずっと人間とは関わらぬように生きていこうと決めたというのに。


 しかも、釣り始めて少しすると誰か来た。まっすぐ、俺達に向かって歩いてくる。男だ。


「やぁ、また釣りをしているんだね酒呑童子。ん?隣の…………誰?」


 さわやかな雰囲気の若い男だ。茶色がかった肩下までの髪を低く結い、左肩から前に垂らしている。背は、俺より高く酒呑童子より低い。


 こいつは人間だ。というより、俺達鬼の天敵。なぜそんなことがわかるのかって?そりゃあこの男が、薄紫色の狩衣姿だからだ。


 この時代で狩衣姿の職業といえば、真っ先に思いつくのが陰陽師。妖退治だけでなく、失せ物探しや天気予報や占いなど様々なことをこなすことから何でも屋とも言われている。


 様々な悪行をはたらく酒呑童子を倒そうと躍起になっている陰陽師もいるとか。なのにこの男、酒呑童子に馴れ馴れしい。


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