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親友と金魚のフン
4P
しおりを挟むいや、ならば最初からそう教えればいいものを。わざとだな。俺の失敗を、楽しそうに笑っている。所詮俺は、酒呑童子を楽しませるための玩具だ。
飽きれば捨てられる。捨てられたら俺はどうする?寝るか。今は酒呑童子のために起きているだけ。1人になれば、起きている理由もなくなる。
死ねないのなら、永遠に眠ってしまえばいいか。
なんてことを考えながらまた池に糸を垂らし、少し待つと来た。彼が言う通り、ピクピクというかツンツンと振動が伝わってくる。微細でこそばゆい。
彼の教え方は合っていた。自分の竿を放り投げた彼に「まだだまだだ」と言われ、竿を握り締めたままその時を待つ。初めての感覚に心臓がバクバク高鳴る。
まだか?竿から伝わってくる振動が大きくなってきた、早く振り上げたい。俺は結構我慢強い、というより飽きやすいはずだったが、高揚感に耐え切れず竿を握る手に力がこもった。
振り上げそうになった直前、大きな手が俺の手を上から握り締めた。「まぁ待て」と。とても落ち着いた、けれど興奮を押し殺している声。
そうだ、ドキドキしているのは俺だけじゃない。額に大粒の汗を浮かべ水面を見つめる彼の声で冷静になって、竿を握り直す。
直後、竿の先がギュンッ!と曲がって水面に突き刺さると同時に「今だ、引けっ!」と酒呑童子が手を離し叫ぶ。俺は一気に竿を振り上げた。
ヒュンッ!と音が鳴り、針の返しがしっかり獲物に食い込んだ手応えを感じる。
歯を食いしばって足を踏ん張り、水面でバシャバシャと暴れまわる獲物を手元まで引っ張る。力を入れれば、上等な竿がミシミシと悲鳴を上げて思わず力を抜いてしまう。
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